好きな人の妹とつき合う僕ってずるいですか?
「遊園地?」
「うん」

 翌日のお昼、部室でいっしょにお弁当を食べながら苺梨が言ってきた。

「アタシたちって、まだちゃんとデートしたことなかったでしょ? だから」

 今度の日曜日は久々に休みだ。

 来月からはコンクールが終わるまでずっと休みはない。コンクール前の最後の休みなのだ。

「別にいいけど……」

 その日は京美先輩の大事な試合がある日だ。

 インハイ地区予選の最終日。

 我が校のエースの京美先輩は、間違いなく最終日まで残る。

 インターハイ出場を懸けた決勝を、ボクは応援しに行くつもりでいた。

「お姉ちゃんのこと? 大丈夫。ちゃんと優勝するよ」
「それはわかってるけど、その瞬間を共有したいと思わないの? その…… 妹として」
「あはは、大丈夫。ウチの親がちゃんと録画しといてくれるって」

 そういうんじゃなくって、その場にいることが大事なんじゃないかな。

 そういうのって。

「それとも、アタシと出かけるよりお姉ちゃんのとこに行きたい?」
「え? そ、そんなことないよ。わかったよ、行くよ」
「よかった。なに着て行こう」

 戸惑いながらも、優柔不断なボクはそのまま苺梨に押し切られてしまった。
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