悪魔の王女と、魔獣の側近 ~高校~
今までにないディアの表情を見た途端に、アイリの激情はスッと冷めた。
今度は激しい悲しみが全身を襲い、アイリは震える唇で懇願し始める。
「ディア、お願い。『好き』って言って……」
どんなにお願いしても、やっぱりディアはアイリの『好き』に対しては応えない。
アヤメには言えるのに、アイリには言えない、たった一言の言葉。
「ちゃんと、私を『好き』って言ってよぉ……!」
「…………」
ディアは困ったような顔をして、口を固く閉ざしたまま。
それはまるで、何かを必死に堪えているようだ。
その時、アイリの脳裏に父・魔王オランの助言、そして最終手段が思い浮かんだ。
それは……
「ディア、これは命令。『好き』って、言って……」
ディアを、命令で服従させること。
そんな事をしても意味はないと……虚しくなるだけだと、分かっているのに。
ディアは悲しげに目を伏せた後に顔を上げると、スッと感情の消えた目でアイリに視線を合わせた。
「ご命令とあらば、お望み通り申し上げます。それでよろしいでしょうか」
ディアがわざわざ前置きと確認をしたのは、アイリへの気遣いと優しさ。
アイリは大粒の涙を零しながら、首を大きく横に振った。
……ちがう。私は、ディアの言葉が欲しい訳じゃない。
……私が欲しいのは、ディアの愛。
「ディア、ごめん、な……さい……」
ディアはアイリの目の前にまで歩みよると、小さく震えるアイリの体を抱きしめた。
言葉もなく、ただ……アイリの全てを全身で受け止めるように。
「うぇ……ディアぁ……うぁぁ……わあぁぁ……!!」
アイリは大声を上げて泣いた。
ディアはアイリの頭の後ろに片手を添えて強く引き寄せながら抱きとめる。
自らの嗚咽でアイリには聞こえていないが、ディアがそっと耳元で囁いた。
「アイリ様……申し訳ありません」
それは、何に対しての謝罪なのだろうか。
「もう少しだけ……もう少しだけ、お時間を下さい」
幼い頃から片思いを続けているアイリを、ディアはどれだけ待たせるのだろうか。
今度は激しい悲しみが全身を襲い、アイリは震える唇で懇願し始める。
「ディア、お願い。『好き』って言って……」
どんなにお願いしても、やっぱりディアはアイリの『好き』に対しては応えない。
アヤメには言えるのに、アイリには言えない、たった一言の言葉。
「ちゃんと、私を『好き』って言ってよぉ……!」
「…………」
ディアは困ったような顔をして、口を固く閉ざしたまま。
それはまるで、何かを必死に堪えているようだ。
その時、アイリの脳裏に父・魔王オランの助言、そして最終手段が思い浮かんだ。
それは……
「ディア、これは命令。『好き』って、言って……」
ディアを、命令で服従させること。
そんな事をしても意味はないと……虚しくなるだけだと、分かっているのに。
ディアは悲しげに目を伏せた後に顔を上げると、スッと感情の消えた目でアイリに視線を合わせた。
「ご命令とあらば、お望み通り申し上げます。それでよろしいでしょうか」
ディアがわざわざ前置きと確認をしたのは、アイリへの気遣いと優しさ。
アイリは大粒の涙を零しながら、首を大きく横に振った。
……ちがう。私は、ディアの言葉が欲しい訳じゃない。
……私が欲しいのは、ディアの愛。
「ディア、ごめん、な……さい……」
ディアはアイリの目の前にまで歩みよると、小さく震えるアイリの体を抱きしめた。
言葉もなく、ただ……アイリの全てを全身で受け止めるように。
「うぇ……ディアぁ……うぁぁ……わあぁぁ……!!」
アイリは大声を上げて泣いた。
ディアはアイリの頭の後ろに片手を添えて強く引き寄せながら抱きとめる。
自らの嗚咽でアイリには聞こえていないが、ディアがそっと耳元で囁いた。
「アイリ様……申し訳ありません」
それは、何に対しての謝罪なのだろうか。
「もう少しだけ……もう少しだけ、お時間を下さい」
幼い頃から片思いを続けているアイリを、ディアはどれだけ待たせるのだろうか。