悪魔の王女と、魔獣の側近
中庭に辿り着くと、アイリは魔獣の姿のディアの元へと駆け寄る。
だが、ディアは意識がないようだ。所々出血していて、重傷を負っている。
「そんな、ディア、なんで……」
アイリが愕然としていると、捜索隊の悪魔の男がアイリに報告する。
「応急処置はしました。ですが魔力が尽きていて、人の姿になれなかったようです」
本来なら巨体の魔獣よりも『人の姿』のディアの方が運びやすいし、治療もしやすい。
しかしディアの姿を変える魔法を使えるのは、不在の魔王オランと、アイリだけだ。
兄のコランは魔力の覚醒が遅かったので、高度な魔法はまだ習得していない。
アイリはディアの毛並みに両手を添えると、深呼吸をして目を閉じた。
(ディア……人の姿になって……)
アイリが念じると、その両手から光が溢れ出し、ディアの全身を包み込む。
その光は収縮していき、それが収まると、そこには人の姿のディアが倒れていた。
アイリの魔法によって、ディアは人の姿に変身したのだ。
しかしディアの体は無数の弾丸の跡により出血し、かえって痛々しく見える。
「ディア……」
「アイリ様、後はお任せ下さい!」
そこへ救急隊が到着し、気を失ったディアを担架に乗せて医療室へと運ぶ。
アイリが目を潤ませながら見送っていると、捜索隊の男がさらに報告をする。
「森で倒れていたディア様の近くには、3人の密猟者も倒れていました。彼らも重傷です」
「密猟者……それでディアが襲われたんだ……」
ディアの事だから、ギリギリまで魔獣に戻らずに戦って耐えたのだろう。
ディアを信じきっているアイリは、それがディアの罪だとは一切思わなかった。
だが、ディアは意識がないようだ。所々出血していて、重傷を負っている。
「そんな、ディア、なんで……」
アイリが愕然としていると、捜索隊の悪魔の男がアイリに報告する。
「応急処置はしました。ですが魔力が尽きていて、人の姿になれなかったようです」
本来なら巨体の魔獣よりも『人の姿』のディアの方が運びやすいし、治療もしやすい。
しかしディアの姿を変える魔法を使えるのは、不在の魔王オランと、アイリだけだ。
兄のコランは魔力の覚醒が遅かったので、高度な魔法はまだ習得していない。
アイリはディアの毛並みに両手を添えると、深呼吸をして目を閉じた。
(ディア……人の姿になって……)
アイリが念じると、その両手から光が溢れ出し、ディアの全身を包み込む。
その光は収縮していき、それが収まると、そこには人の姿のディアが倒れていた。
アイリの魔法によって、ディアは人の姿に変身したのだ。
しかしディアの体は無数の弾丸の跡により出血し、かえって痛々しく見える。
「ディア……」
「アイリ様、後はお任せ下さい!」
そこへ救急隊が到着し、気を失ったディアを担架に乗せて医療室へと運ぶ。
アイリが目を潤ませながら見送っていると、捜索隊の男がさらに報告をする。
「森で倒れていたディア様の近くには、3人の密猟者も倒れていました。彼らも重傷です」
「密猟者……それでディアが襲われたんだ……」
ディアの事だから、ギリギリまで魔獣に戻らずに戦って耐えたのだろう。
ディアを信じきっているアイリは、それがディアの罪だとは一切思わなかった。