悪魔の王女と、魔獣の側近
数時間の視察を終えたアイリとディアは施設の門の外に出る。
薄暗い施設内から一転、午後の日差しが目に眩しい。
途端に、アイリがとクルッと回転して後方のディアの方を向いた。
その顔は、先ほどまでの深刻な表情ではなく、ニコニコと笑顔だ。
「さて、ディア。次の予定は?」
「はい。本日、午後は半休です」
「ふふっ、だよね。じゃあ~~」
アイリは満面の笑顔で、ディアの片腕に両腕を絡めて抱きつく。
今日の午後は半休。つまり仕事はなく、自由時間。
公務での視察だというのに、アイリが可愛らしいピンクのワンピースを着ている理由が明かされる。
「もちろんデートだよね、ね?」
仕事モードから私事モードへの切り替えが見事だ。
子供のようにして手を引くアイリにディアは笑顔を返し、いつもの口調で同意をする。
「はい。承知致しました」
二人がデートをする場所といえば、城下町だ。
魔王の城から一直線、しかも魔界で最も治安が良い。
王女と側近でありながら、いつも地元の繁華街の感覚で堂々とデートをする。
そんなデートも住民にとっては日常の風景で、二人を見ると温かい眼差しで見守る。
通りすがりの悪魔の親子が、二人の姿を見付けて笑顔になる。
「ママー、アイリ様とディア様だよ~!」
「今日もデートなのね、微笑ましいわぁ」
アイリとディアは顔を隠すことなく、堂々と腕を組んで歩いていく。
というか、アイリがディアの腕にピッタリとくっついているのだ。
二人はそのまま繁華街にある、行きつけのお洒落なカフェに入る。
「アイリ様、ディア様、いらっしゃいませ!!」
「いらっしゃいませ!!」
店員たちともすでに馴染んでいて、驚くことなく二人を笑顔で迎える。
そして、いつものように窓際の特別席へと案内される。
テーブルに向かい合って座ると、アイリは店員に注文を伝える。
「私はコーヒーを……あっ、念のため、カフェインレスで」
それを聞いたディアは不思議に思った。
「念のためとは?体調が優れないのですか?」
「あっ!ううん、違うの!夜、眠れなくなったら困るから!!」
「まだお昼ですよ」
そう言って笑うディアだが、アイリは内心、ごまかすのに必死だ。
もし本当に懐妊してたら……と思うと、飲食にも気を遣ってしまう。
薄暗い施設内から一転、午後の日差しが目に眩しい。
途端に、アイリがとクルッと回転して後方のディアの方を向いた。
その顔は、先ほどまでの深刻な表情ではなく、ニコニコと笑顔だ。
「さて、ディア。次の予定は?」
「はい。本日、午後は半休です」
「ふふっ、だよね。じゃあ~~」
アイリは満面の笑顔で、ディアの片腕に両腕を絡めて抱きつく。
今日の午後は半休。つまり仕事はなく、自由時間。
公務での視察だというのに、アイリが可愛らしいピンクのワンピースを着ている理由が明かされる。
「もちろんデートだよね、ね?」
仕事モードから私事モードへの切り替えが見事だ。
子供のようにして手を引くアイリにディアは笑顔を返し、いつもの口調で同意をする。
「はい。承知致しました」
二人がデートをする場所といえば、城下町だ。
魔王の城から一直線、しかも魔界で最も治安が良い。
王女と側近でありながら、いつも地元の繁華街の感覚で堂々とデートをする。
そんなデートも住民にとっては日常の風景で、二人を見ると温かい眼差しで見守る。
通りすがりの悪魔の親子が、二人の姿を見付けて笑顔になる。
「ママー、アイリ様とディア様だよ~!」
「今日もデートなのね、微笑ましいわぁ」
アイリとディアは顔を隠すことなく、堂々と腕を組んで歩いていく。
というか、アイリがディアの腕にピッタリとくっついているのだ。
二人はそのまま繁華街にある、行きつけのお洒落なカフェに入る。
「アイリ様、ディア様、いらっしゃいませ!!」
「いらっしゃいませ!!」
店員たちともすでに馴染んでいて、驚くことなく二人を笑顔で迎える。
そして、いつものように窓際の特別席へと案内される。
テーブルに向かい合って座ると、アイリは店員に注文を伝える。
「私はコーヒーを……あっ、念のため、カフェインレスで」
それを聞いたディアは不思議に思った。
「念のためとは?体調が優れないのですか?」
「あっ!ううん、違うの!夜、眠れなくなったら困るから!!」
「まだお昼ですよ」
そう言って笑うディアだが、アイリは内心、ごまかすのに必死だ。
もし本当に懐妊してたら……と思うと、飲食にも気を遣ってしまう。