悪魔の王女と、魔獣の側近
第5話『エメラの思惑と、ディアの葛藤』
朝、アイリは心地よい温もりの中で目覚めた。
目の前にはディアの寝顔が見える。
ディアは早起きなので、いつもだったら彼の姿は隣にない。
今日は少し早く目覚めたので、珍しく朝のディアの寝顔を見れて微笑んでしまう。
……しかもディアは、アイリを抱きながら眠っているのだ。
(わぁ……幸せ……)
すっかり目が覚めてしまったアイリは、しばらくディアの寝顔を見つめていたが、ふと視線を少し下にずらす。
ディアの綺麗な首筋と鎖骨が見えて、一瞬ドキッとするも、それの意味を探る。
……え、もしかして……?
そして次に、自分の胸元のパジャマを手で触って確認してみる。
そして、それの意味に、やっと気付いた。
(もう、ディアってば……起きてる時に、してくれればいいのに……)
頬を赤くして照れながら微笑むと、ディアの頬にキスしようと顔を近付けた。
その時、ディアの目がうっすらと開かれた。
「おはようございます……イリア様」
まだ半分、覚醒していないディアが挨拶と共に、無意識に口にした名前。
それは幸せ気分のアイリを一転させる言葉となった。
……『イリア』?
……今、私のこと『イリア』って呼んだ?
……イリアって……誰?
「ディア、私は、アイリ……だよ?」
アイリが声を震わせて問いかけるが、ディアには自覚がないようだ。
まだ眠そうな瞳をしながらも、ディアはアイリを優しく抱きしめた。
「はい。アイリ様……」
今度は、ちゃんと『アイリ』と呼んでくれた。
それに、いつもの優しいディアの瞳だ。
アイリは不安を掻き消そうと、必死に自分の中で答えを探す。
(ディア、寝惚けて言い間違えただけ……?)
(ううん、私が寝惚けて聞き間違えたのかも……)
ディアを信用しているアイリは深く疑いはせずに、そう思う事にした。
そしてディアも、今のアイリの様子を見て、ある事実に気付いた。
(イリア様の人格が現れるのは、アイリ様が眠っている間だけ……)
そして、アイリがイリアの人格であった時の記憶はない。
アイリは、自分の中にイリアという人格が存在する事に、気付いていない。
謎の存在であるイリアだが、性格や言動を除けば、その本質は同じ。
アイリもイリアも、同じようにディアを愛しているのだから。
だが同時に、アイリに言えない秘密を抱えてしまったディアは罪悪感に悩む。
別人格『イリア』、そして同種族『エメラ』からも、同時に愛されるという現状に。
目の前にはディアの寝顔が見える。
ディアは早起きなので、いつもだったら彼の姿は隣にない。
今日は少し早く目覚めたので、珍しく朝のディアの寝顔を見れて微笑んでしまう。
……しかもディアは、アイリを抱きながら眠っているのだ。
(わぁ……幸せ……)
すっかり目が覚めてしまったアイリは、しばらくディアの寝顔を見つめていたが、ふと視線を少し下にずらす。
ディアの綺麗な首筋と鎖骨が見えて、一瞬ドキッとするも、それの意味を探る。
……え、もしかして……?
そして次に、自分の胸元のパジャマを手で触って確認してみる。
そして、それの意味に、やっと気付いた。
(もう、ディアってば……起きてる時に、してくれればいいのに……)
頬を赤くして照れながら微笑むと、ディアの頬にキスしようと顔を近付けた。
その時、ディアの目がうっすらと開かれた。
「おはようございます……イリア様」
まだ半分、覚醒していないディアが挨拶と共に、無意識に口にした名前。
それは幸せ気分のアイリを一転させる言葉となった。
……『イリア』?
……今、私のこと『イリア』って呼んだ?
……イリアって……誰?
「ディア、私は、アイリ……だよ?」
アイリが声を震わせて問いかけるが、ディアには自覚がないようだ。
まだ眠そうな瞳をしながらも、ディアはアイリを優しく抱きしめた。
「はい。アイリ様……」
今度は、ちゃんと『アイリ』と呼んでくれた。
それに、いつもの優しいディアの瞳だ。
アイリは不安を掻き消そうと、必死に自分の中で答えを探す。
(ディア、寝惚けて言い間違えただけ……?)
(ううん、私が寝惚けて聞き間違えたのかも……)
ディアを信用しているアイリは深く疑いはせずに、そう思う事にした。
そしてディアも、今のアイリの様子を見て、ある事実に気付いた。
(イリア様の人格が現れるのは、アイリ様が眠っている間だけ……)
そして、アイリがイリアの人格であった時の記憶はない。
アイリは、自分の中にイリアという人格が存在する事に、気付いていない。
謎の存在であるイリアだが、性格や言動を除けば、その本質は同じ。
アイリもイリアも、同じようにディアを愛しているのだから。
だが同時に、アイリに言えない秘密を抱えてしまったディアは罪悪感に悩む。
別人格『イリア』、そして同種族『エメラ』からも、同時に愛されるという現状に。