悪魔の王女と、魔獣の側近
第7話『イリアの契約と、レイトの困惑』
なんとか無事に城に帰れた、その日の夜。
アイリは、いつものようにパジャマ姿でディアの部屋のベッドの上に転がっている。
そこにディアが覆いかぶさってくる。
「今日はお疲れ様でした。おやすみなさいませ」
「……うん。ディアは今日、よく休めた?」
「はい。おかげ様で」
ディアを目の前にしてもアイリの思考は、どこか別の場所にあった。
まだ今日の出来事は誰にも話していない。
明日になったら、ディアにもコランにも、全てを話そう……。
そう思いながら、アイリはディアの首に両腕を絡めて引き寄せる。
「ディア。ずっと離れないでね……?」
この先の不安を感じたアイリは、念を押すかのようにディアに問いかける。
「承知致しました」
そしてディアの返事は、笑顔は……いつもと同じだ。
……今日のエメラの事を話したら、ディアはどんな選択をするだろう?
……『命令』だと言えば、ディアはずっと離れないでいてくれるだろうか。
しかし、それではディアの感情を無視して手に入れようとするエメラと同じだ。
部屋の明かりを消して布団に入ってからも、アイリはずっと考えていた。
そして、いつの間にか眠っていた。
アイリが眠ったのを確認すると、ディアはようやく瞼を閉じた。
……だが突然、アイリが起き上がった。
アイリの深夜の唐突な覚醒。それが何を意味するのか、ディアは分かっている。
「イリア様……?」
今のアイリは、イリアの人格に変わったのだ。
アイリが眠ると同時に、イリアの人格は覚醒する。
イリアはベッドから降りると、ディアに背を向けて部屋を出て行こうとする。
「イリア様、どちらへ……?」
いつもの『調教』が始まると思っていたディアは、イリアの行動を不思議に思う。
イリアは振り向きもせずに、背中を向けたままディアに命じる。
「ディア、命令よ。少しだけ大人しく待ってなさい」
イリアの命令はディアにとって『絶対』なのだ。
それは理屈ではない、契約による強制力の絶対服従。
やはりディアは、こう返すしかなかった。
「……承知致しました……」
アイリは、いつものようにパジャマ姿でディアの部屋のベッドの上に転がっている。
そこにディアが覆いかぶさってくる。
「今日はお疲れ様でした。おやすみなさいませ」
「……うん。ディアは今日、よく休めた?」
「はい。おかげ様で」
ディアを目の前にしてもアイリの思考は、どこか別の場所にあった。
まだ今日の出来事は誰にも話していない。
明日になったら、ディアにもコランにも、全てを話そう……。
そう思いながら、アイリはディアの首に両腕を絡めて引き寄せる。
「ディア。ずっと離れないでね……?」
この先の不安を感じたアイリは、念を押すかのようにディアに問いかける。
「承知致しました」
そしてディアの返事は、笑顔は……いつもと同じだ。
……今日のエメラの事を話したら、ディアはどんな選択をするだろう?
……『命令』だと言えば、ディアはずっと離れないでいてくれるだろうか。
しかし、それではディアの感情を無視して手に入れようとするエメラと同じだ。
部屋の明かりを消して布団に入ってからも、アイリはずっと考えていた。
そして、いつの間にか眠っていた。
アイリが眠ったのを確認すると、ディアはようやく瞼を閉じた。
……だが突然、アイリが起き上がった。
アイリの深夜の唐突な覚醒。それが何を意味するのか、ディアは分かっている。
「イリア様……?」
今のアイリは、イリアの人格に変わったのだ。
アイリが眠ると同時に、イリアの人格は覚醒する。
イリアはベッドから降りると、ディアに背を向けて部屋を出て行こうとする。
「イリア様、どちらへ……?」
いつもの『調教』が始まると思っていたディアは、イリアの行動を不思議に思う。
イリアは振り向きもせずに、背中を向けたままディアに命じる。
「ディア、命令よ。少しだけ大人しく待ってなさい」
イリアの命令はディアにとって『絶対』なのだ。
それは理屈ではない、契約による強制力の絶対服従。
やはりディアは、こう返すしかなかった。
「……承知致しました……」