悪魔の王女と、魔獣の側近
会議が終わると、公務で忙しいコランとレイトは早々に会議室から出ていく。
アイリは昨日からの不安と緊張から解放されて、フウっと息をついた。
ゆっくりと椅子から立ち上がろうとすると、隣のディアが先に立ってアイリに片手を差し出した。
「今から少しだけ、私の部屋に来て頂けないでしょうか」
「え?うん、いいけど……」
アイリは不思議に思いながらも、ディアの手を取って立ち上がる。
真面目なディアは、いつもならすぐに執務の準備に取り掛かる。
それなのに昼間から自室に誘うとは、どんな意味があるのだろうか。
(まだお昼前なのに、ディアったら、もしかして……)
そんな妄想と期待まで膨らませているアイリは、すっかり気が緩んでいた。
……事態は、思っている以上に深刻なのに。
会議室を出た二人はディアの部屋へと向かう。
真面目なディアらしく、ベッドと机があるくらいで飾り気のない簡素な部屋。
アイリは何度、この部屋でディアと共に夜を過ごしただろうか。
そんな部屋でディアはアイリと向かい合う。
「アイリ様。私は魔獣界に行きます」
突然、ディアの口から語られた決意は衝撃的な一言だった。
それの意図を聞く前に、アイリは昂る感情を一気にぶつける。
「なんで!?そんなのダメだよ、お兄ちゃんだって言ってたでしょ!?」
しかし、コランは『気にするな』とは言ったが『行くな』とは言っていない。
誰も、ディアを命令で縛るような事はしないのだ。
ディアはすでに心を決めていたのか、その視線は真直ぐで迷いはない。
「これは私自身の考えです。私が魔獣界に行けば、魔界が攻められる事はありません」
先ほどの会議では、コランの考えやアイリの気持ちによって結論が出された。
だが、ディアは一度も自分の気持ち、感情、考えを述べていない。
誰もが……ディアの心に目を向けていなかった。
アイリは昨日からの不安と緊張から解放されて、フウっと息をついた。
ゆっくりと椅子から立ち上がろうとすると、隣のディアが先に立ってアイリに片手を差し出した。
「今から少しだけ、私の部屋に来て頂けないでしょうか」
「え?うん、いいけど……」
アイリは不思議に思いながらも、ディアの手を取って立ち上がる。
真面目なディアは、いつもならすぐに執務の準備に取り掛かる。
それなのに昼間から自室に誘うとは、どんな意味があるのだろうか。
(まだお昼前なのに、ディアったら、もしかして……)
そんな妄想と期待まで膨らませているアイリは、すっかり気が緩んでいた。
……事態は、思っている以上に深刻なのに。
会議室を出た二人はディアの部屋へと向かう。
真面目なディアらしく、ベッドと机があるくらいで飾り気のない簡素な部屋。
アイリは何度、この部屋でディアと共に夜を過ごしただろうか。
そんな部屋でディアはアイリと向かい合う。
「アイリ様。私は魔獣界に行きます」
突然、ディアの口から語られた決意は衝撃的な一言だった。
それの意図を聞く前に、アイリは昂る感情を一気にぶつける。
「なんで!?そんなのダメだよ、お兄ちゃんだって言ってたでしょ!?」
しかし、コランは『気にするな』とは言ったが『行くな』とは言っていない。
誰も、ディアを命令で縛るような事はしないのだ。
ディアはすでに心を決めていたのか、その視線は真直ぐで迷いはない。
「これは私自身の考えです。私が魔獣界に行けば、魔界が攻められる事はありません」
先ほどの会議では、コランの考えやアイリの気持ちによって結論が出された。
だが、ディアは一度も自分の気持ち、感情、考えを述べていない。
誰もが……ディアの心に目を向けていなかった。