悪魔の王女と、魔獣の側近
その日の深夜。
ディアは一人で魔獣界の存在する森へと向かった。
野生の魔獣であった過去、魔獣界、そしてエメラと決着を付けるために。
そうしなければ、先には進めない。
全ては、アイリと共に生きる未来を手に入れるために。
ディアの出発を見送った後。
アイリはディアの部屋の床に座り、ベッドに上半身だけを伏せていた。
ディアの事は信じているが、やはり不安で心配で、心が押し潰されそうなのだ。
そんな、長く孤独な時間を過ごしていた、その時。
アイリの脳裏にまた、あの少女の『声』が響いた。
『あ~あ、なんで行かせちゃうのよ』
その声に気付いたアイリは、ベッドに埋めていた顔を一気に起こした。
「え!?また、この声……誰なの?」
アイリの声だけが、誰もいない空虚な部屋に響く。
アイリに宿る何者かの存在が直接、脳内で呼びかけているのだ。
『だから、ディアをあの女に取られちゃうのよ』
「あの女?エメラさんの事?あなたは一体、誰なの……?」
『アタシはイリア。もう一人のアンタよ』
「イリア?もう一人の、私……?」
アイリは『イリア』という名前に聞き覚えがあった。
寝起きのディアは何故かアイリの事を、その名で呼ぶ時がある。
と、いう事は、たまに深夜の記憶がなくなるのは……
そこまで予想した所で、イリアの強い口調がアイリの思考回路を塞ぐ。
『やっぱり、アンタには任せておけない』
その一言を最後に、イリアの言葉は聞こえなくなった。
いくらアイリが呼びかけてもイリアは反応しない。
(イリアって何者なの?何をする気なの……?)
不安に駆られながら、アイリは無意識にペンダントの赤い宝石を握りしめていた。
ディアは一人で魔獣界の存在する森へと向かった。
野生の魔獣であった過去、魔獣界、そしてエメラと決着を付けるために。
そうしなければ、先には進めない。
全ては、アイリと共に生きる未来を手に入れるために。
ディアの出発を見送った後。
アイリはディアの部屋の床に座り、ベッドに上半身だけを伏せていた。
ディアの事は信じているが、やはり不安で心配で、心が押し潰されそうなのだ。
そんな、長く孤独な時間を過ごしていた、その時。
アイリの脳裏にまた、あの少女の『声』が響いた。
『あ~あ、なんで行かせちゃうのよ』
その声に気付いたアイリは、ベッドに埋めていた顔を一気に起こした。
「え!?また、この声……誰なの?」
アイリの声だけが、誰もいない空虚な部屋に響く。
アイリに宿る何者かの存在が直接、脳内で呼びかけているのだ。
『だから、ディアをあの女に取られちゃうのよ』
「あの女?エメラさんの事?あなたは一体、誰なの……?」
『アタシはイリア。もう一人のアンタよ』
「イリア?もう一人の、私……?」
アイリは『イリア』という名前に聞き覚えがあった。
寝起きのディアは何故かアイリの事を、その名で呼ぶ時がある。
と、いう事は、たまに深夜の記憶がなくなるのは……
そこまで予想した所で、イリアの強い口調がアイリの思考回路を塞ぐ。
『やっぱり、アンタには任せておけない』
その一言を最後に、イリアの言葉は聞こえなくなった。
いくらアイリが呼びかけてもイリアは反応しない。
(イリアって何者なの?何をする気なの……?)
不安に駆られながら、アイリは無意識にペンダントの赤い宝石を握りしめていた。