悪魔の王女と、魔獣の側近
次の日、緊急会議が開かれた。
場所はいつもの会議室、そしてメンバーも以前と似た感じだ。
アイリと真菜、コランとレイト。
つまり、『王子と王女、その側近』の4人だけの会議。
全員が元・同級生の仲良しメンバーなので、会議というよりは同窓会のようだ。
代理魔王のコランが中心となって会議を進める。

「今日の議題は、ディアを取り戻す方法だ」

全員がコランに注目して、同時に頷く。
ディアを取り戻す、つまり封印されたディアの記憶を取り戻す方法だ。
まずレイトが意見を述べる。

「封印はエメラさんしか解けないなら、他の方法で『思い出させる』しかないよね」
「うーん、頭を殴る、とかか?」
「お兄ちゃん、それはやめて……」

無邪気で悪意はないだけに、コランの意見は怖い。
するとアイリの隣で黙っていた真菜が、ぼそっと一言呟いた。

「やっぱり、アイリちゃんの愛が鍵だと思う」

しん、と静まり返る会議室。
何故か全員、口を開けて頬を赤くしている……気がする。
理屈ではなく愛での解決を語るロマンチストな真菜に、誰もが目から鱗だ。
真菜は全員の顔を見回して慌てる。

「え?私、なんか変なこと言った!?」
「いや、真菜。それだ!よし、思い付いたぞ!!」

コランは何を思い付いたのか、突然立ち上がった。
そしてやっぱり、まずは例の前置きを言う。

「これから、魔王であるオレの意見を述べる」
「……『代理』魔王でしょ」
「レイト、うるさいぞ!」

少し前にも全く同じシーンを見た気がする……とアイリは思った。
コホンと咳払いをして、コランは改めて発言をする。

「ディアを迎えに行くんじゃない。今度は逆に招待するんだ」

「……は?」

3人揃って、同じ声が出てしまった。
コランの意図が全く読めない。
コランの彼女の真菜でさえ、それを通訳できずに戸惑っている。

「ちょっと待ってよ、コランくん。招待しても、喜んで来るとは思えないけど」

真菜の言う通り、エメラは魔王を憎んでいるし、アディも魔王を忌まわしく思っている。
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