悪魔の王女と、魔獣の側近
アイリとディアは、放心状態で床に座っているエメラに近付く。
アイリは屈んで、エメラの視線の高さに合わせる。
するとエメラは、力のない金の瞳でアイリを見つめる。
「王女様が……わたくしを助けて下さったんですの?」
アイリは微笑して答える。
「私じゃないよ。イリアだよ」
「イリア……?」
「私とディアの娘」
「え、えぇ……!?」
訳が分からずに混乱するエメラだったが、アイリはそれ以上の説明はしない。
最強の魔獣ディアと、魔界最強の魔力を持つアイリ。
最強の二人の魔力の結合だからこそ誕生した、イリアという生命の神秘。
その前例のない奇跡は、まだ二人だけの秘密。
ディアも膝を折って、エメラに視線を合わせる。
ディアと目が合うと、バツが悪そうにしてエメラは視線を逸らす。
……合わせる顔がない、といった感じだ。
「ディア様……申し訳ありませんでした」
「はい。私も申し訳ありませんが、貴方の夫にはなれません」
「そう……ですわよね」
その落胆したようなエメラの表情を見て、アイリは女の勘で思った。
もしかしてエメラは、本気でディアの事を……?
だが、次にディアが口にした言葉が、エメラの運命を変える。
「ですが、私は魔獣界の王になります」
「……え?」
その言葉の意味が分からなくて、エメラは目を見開いて固まった。
アイリも驚いたが、それは予想していた事で、すぐに納得できた。
ディアならきっと、そう言うだろうと思っていたから。
「これからは、エメラさん一人に魔獣界を背負わせるような事はしません」
「そう。私も一緒に魔獣界を守っていくから!」
エメラは目も口も開けたまま、ポカンと二人を眺めている。
つまりディアは魔獣界の王となり、アイリが王妃となるのだろう。
……それも、いいかもしれない。
結局、記憶を封印してもエメラはアディにも愛されずに虚しさだけが残った。
エメラはディアを愛していたが、今はそれ以上に魔獣界を守りたいという願いが強い。
強い愛で結ばれた二人なら、きっと叶えてくれる。
理想の魔獣界を作り上げてくれる。
ようやく決断したエメラは微笑んだ。
「それならば、わたくしは、お二人の側近として働きますわ」
「ふふっ、それ、いいね!よろしくね、エメラさん」
「……あと申し上げておきますが、ディア様とは何もなかったですわ、残念ながら」
「うん。分かってた」
ようやくアイリとエメラは、心からの笑顔を交わすことができた。
アイリは屈んで、エメラの視線の高さに合わせる。
するとエメラは、力のない金の瞳でアイリを見つめる。
「王女様が……わたくしを助けて下さったんですの?」
アイリは微笑して答える。
「私じゃないよ。イリアだよ」
「イリア……?」
「私とディアの娘」
「え、えぇ……!?」
訳が分からずに混乱するエメラだったが、アイリはそれ以上の説明はしない。
最強の魔獣ディアと、魔界最強の魔力を持つアイリ。
最強の二人の魔力の結合だからこそ誕生した、イリアという生命の神秘。
その前例のない奇跡は、まだ二人だけの秘密。
ディアも膝を折って、エメラに視線を合わせる。
ディアと目が合うと、バツが悪そうにしてエメラは視線を逸らす。
……合わせる顔がない、といった感じだ。
「ディア様……申し訳ありませんでした」
「はい。私も申し訳ありませんが、貴方の夫にはなれません」
「そう……ですわよね」
その落胆したようなエメラの表情を見て、アイリは女の勘で思った。
もしかしてエメラは、本気でディアの事を……?
だが、次にディアが口にした言葉が、エメラの運命を変える。
「ですが、私は魔獣界の王になります」
「……え?」
その言葉の意味が分からなくて、エメラは目を見開いて固まった。
アイリも驚いたが、それは予想していた事で、すぐに納得できた。
ディアならきっと、そう言うだろうと思っていたから。
「これからは、エメラさん一人に魔獣界を背負わせるような事はしません」
「そう。私も一緒に魔獣界を守っていくから!」
エメラは目も口も開けたまま、ポカンと二人を眺めている。
つまりディアは魔獣界の王となり、アイリが王妃となるのだろう。
……それも、いいかもしれない。
結局、記憶を封印してもエメラはアディにも愛されずに虚しさだけが残った。
エメラはディアを愛していたが、今はそれ以上に魔獣界を守りたいという願いが強い。
強い愛で結ばれた二人なら、きっと叶えてくれる。
理想の魔獣界を作り上げてくれる。
ようやく決断したエメラは微笑んだ。
「それならば、わたくしは、お二人の側近として働きますわ」
「ふふっ、それ、いいね!よろしくね、エメラさん」
「……あと申し上げておきますが、ディア様とは何もなかったですわ、残念ながら」
「うん。分かってた」
ようやくアイリとエメラは、心からの笑顔を交わすことができた。