失くしたあなたの物語、ここにあります
「会いたくないと思う理由に心当たりがあるの?」
「……ないです。高校時代とは環境が変わって疎遠になっただけだと思ってたから」
菜七子さんは少し考え込んでからそう言う。
「お手紙、見てみたら? 睦子さんの気持ちがわかるかも」
「睦子の気持ち……。私、あの子の気持ち、ちゃんと考えてあげられてたかな」
きっと手紙の中にその答えがある。菜七子さんはそれに気づいて、封筒を開けるのを躊躇する。
知らず知らずのうちに親友を傷つけていた。その答え合わせは、誰だって怖いだろう。だけど、二人は縁あって出会って親友になった。このまま終わってしまうなんてさみしい。菜七子さんに憧れていた睦子さんを救えるのは菜七子さんしかいない。
「そう悩んでるのは、睦子さんも同じじゃないかな?」
沙代子はきっと後悔しているのだと思った。睦子さんを説得せずに帰したことを。あのとき、菜七子さんに会うべきだって、彼女は言って欲しかったかもしれないのにと。
「私たち、全然似てないのに、似たもの同士だったの」
だから、なんでもわかり合えた。くだらない話も、時には深刻な話も。だけど、ボタンをかけ違えたきっかけがあるとしたら、菜七子さんが村瀬さんに恋をしたことだろう。
「……ないです。高校時代とは環境が変わって疎遠になっただけだと思ってたから」
菜七子さんは少し考え込んでからそう言う。
「お手紙、見てみたら? 睦子さんの気持ちがわかるかも」
「睦子の気持ち……。私、あの子の気持ち、ちゃんと考えてあげられてたかな」
きっと手紙の中にその答えがある。菜七子さんはそれに気づいて、封筒を開けるのを躊躇する。
知らず知らずのうちに親友を傷つけていた。その答え合わせは、誰だって怖いだろう。だけど、二人は縁あって出会って親友になった。このまま終わってしまうなんてさみしい。菜七子さんに憧れていた睦子さんを救えるのは菜七子さんしかいない。
「そう悩んでるのは、睦子さんも同じじゃないかな?」
沙代子はきっと後悔しているのだと思った。睦子さんを説得せずに帰したことを。あのとき、菜七子さんに会うべきだって、彼女は言って欲しかったかもしれないのにと。
「私たち、全然似てないのに、似たもの同士だったの」
だから、なんでもわかり合えた。くだらない話も、時には深刻な話も。だけど、ボタンをかけ違えたきっかけがあるとしたら、菜七子さんが村瀬さんに恋をしたことだろう。