恋愛日和    after story omnibus
裸のままの私の元に、また服を脱いで
覆い被さる隼人君が頬に軽くキスを
してくれるとそっと抱き締めてくれた


『言いたい事は分かるよ‥‥。
 でも仕事が始まるとまた
 触れる時間さえなくなるから、
 今は日和の事だけ考えたい‥ダメ?』


ドクン‥



こんな台詞を好きな人に言われて
嬉しくない人なんかいないと思う。


一緒に住んでいても、生活時間帯が
違いすぎて、執筆が始まれば、仕事
部屋に私も入れなくなる。


尾田 隼人から瀬木 遙に変わって
しまう前は私も少しでも長く
こうしていたい‥‥


今は大学生だからまだ余裕があるけど、
仕事をし始めたらもっとこういった
時間が取れないかもしれない。


アシスタントだって別の人を
雇うかもしれないよね‥‥


「うん‥‥私も同じだよ。」


『ん‥‥日和‥舌出して?』


素肌の隼人君に私も抱きつくと、
そのままもう一度、甘い時間を
2人で過ごし、一緒にそこで眠った


外に出掛けるデートもしたいけど、
好きな人と過ごす時間があれば、
どんな場所だって結局は愛しいものだ


気持ちよさそうに眠る彼の髪を撫で、
おでこに触れるだけのキスを落とし
また腕の中で眠りについた



ピンポーン


誰だろう‥‥


次の日、朝食を作っていると
鳴ったインターホンのドアモニターを
覗き込むと、高城さんの姿に嬉しくなり
急いでドアを開けた。



「おはようございます。
 朝早くどうされたんですか?」


スタイル抜群の高城さんは、
いつものスーツ姿ではなく、
スキニーパンツにスプリングニットを
合わせ、モデルさんのように綺麗だ


『日和ちゃん、昨日はごめんね。
 うちのが邪魔しちゃったでしょ?』


「ツッ!!」


リビングに案内する中、耳元で
小声で囁かれると、昨日の隼人君を
思い出して体中が熱くなった



高城さん‥‥うちのって‥‥。
和木さんの事だよね‥‥。


「寧ろ追い返したっぽいですが、
 大丈夫でしたか?」


キッチンで珈琲を淹れる私を、
ダイニングチェアに腰掛けて見ている
高城さんに熱々の淹れたてを差し出す


隼人君は機嫌が悪いと、お構いなしに
あの態度が出てしまう。


和木さんも高城さんも年上なのに、
嫌な顔一つせずに担当してくださってる
のがすごいと思える。


私だったら、担当する作家さんが
あんな態度だったら落ち込んじゃう
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