片想いに終止符を
3
学校からの帰り道。
わたしは、はぁと深いため息をついた。
意気込んだのはいいものの、告白するタイミングが全く思いつかない。
誰もいない教室で告白する?
でも、そんな遅くまで桐生くんが居てくれるとも思わない。
メッセージを送ってみる?
そもそも、連絡先を交換してない……。
手紙で告白?
手紙ならあまり緊張しないけど、告白はちゃんと自分の口から直接言いたい。
「う〜ん。どうしよう……。」
そんなことを考えながら、とぼとぼと歩いているといつの間にか駅に着いていた。
ICカードをスクールバックから取り出す。
ピッと無機質な音が鳴る。
改札を抜け駅のホームに立つ。
うぅ……。いくら考えてもいい案が浮かばない。
思わず頭を抱えたくなる。
しかし、駅のホームでそんな事をしたら変な人確定。
こんなところで、奇行に走るほど馬鹿では無い。
そんなことを思いながら、ぼんやりと掲示板を眺める。
もうすぐ夏休みだからか、夏限定のちょっとした子供向けのイベントなどのポスターが貼ってあった。
そこで、とある一枚のポスターが目に留まった。
「今週の土曜日、花火大会なんだ……。」
誰にも聞こえないような小さな声でポツリと呟く。
夏祭りはデートにもピッタリだし、雰囲気もバッチリ作れる。
わたしも彼氏がいたら、一緒に花火大会行ってみたかったな〜。
そこまで考えて、あることを思い立つ。
花火大会で告白するのはとてもロマンチックだと。
これだ!!
桐生くんに花火大会で告白しよう!
そうと決まれば、明日さっそく桐生くんを花火大会に誘ってみよう。
そう意気込んで、わたしは冷房の効いた涼しい電車に乗り込んだ。
この時のわたしは、何も考えていなかった。
ほぼ初対面の一度も話したことが無いクラスメイトから、いきなり花火大会に誘われたら、どう思うかなんて。