異動する先輩から食事に誘われたら
「俺、異動になるじゃん。フロアが違うから、もう会わなくなるかもね」

「そうですね」

「それってなんか嫌だな、って思っちゃったんだよね」

 え?
 私は内心で驚きを隠せない。

「君さ、いつも嫌がらずに雑用を引き受けて真面目で一生懸命で、笑顔が素敵だな、って思ってて」

 そんなこと思われてたなんて、思いもしなかった。

 先輩が振り返り、目線が思い切りぶつかった。心臓がどきんと大きく脈打つ。

「良かったら、明日また会えない?」
「ごめんなさい」
 私は謝った。

 先輩が、はあっとため息をついた。
「ダメかあ。残念」

 先輩が苦笑する。私は慌てて付け足した。

「明日は法事があるので。あさっての日曜か、次の土曜日なら空いてます」
 先輩が目を丸くした。

「まじ? じゃあ両方予約!」
 先輩がうれしそうに言う。

 私の目はその笑顔に釘付けになった。

「次はきっと君を楽しませて見せるから」

 親指を立ててニッと笑う先輩に、私は顔を赤くして頷いた。






< 4 / 4 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:9

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

表紙を見る
私と彼の溺愛練習帳

総文字数/129,571

恋愛(その他)192ページ

表紙を見る
私と彼の溺愛練習帳 番外編

総文字数/8,156

恋愛(その他)23ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop