隣のクラスの無口イケメンが♡推し王子様系Vtuber♡だった ~ファンだった私がいつのまにか囲われて溺愛されてます~

第2話 秘密

〇公園(夕)

ゆき、玲央、2人で四阿にいる。玲央、タオルを手に持っている。

ゆき「……ツキ様?」

玲央、驚いた顔をする。

玲央、すぐに無表情になる。

玲央「……なにそれ」

ゆき「やっぱり、聞けば聞くほど……」

玲央「意味わかんないけど」

玲央、口を押える。

玲央、雨が降っているなかに駆け出す。

ゆき「あ、あの」

ゆきの言葉は届かずに玲央の背中はどんどん遠くなる。

ゆき「……逃げちゃったら本物だと思っちゃうじゃん」

ゆき、雨の降る空を見上げる。

〇ゆきの家(夜)

ゆきの部屋。

ゆきの部屋にはツキのグッズがある。本当にお気に入りだけをお小遣いをためて買った。

ゆき、部屋着。

ゆき、腕を組んで難しそうな顔で考え込んでいる。

ゆき「うーん」

ゆき、スマホを触ってツキの動画の画面にする。

スマホのサムネ”ツキ様 くしゃみ切り抜き集”

ゆき、再生する。

ツキ「……くしゅん」

ゆき、腕を組んで考えこむ。

ゆき「うーん」

ゆき、スマホを触って別のツキの動画の画面にする。

スマホのサムネ、”ツキ様 ご褒美集”

ゆき、再生する。

ツキ「お前ら、いつもありがとう」

ゆき、画面をタップして戻す。

ツキ「ありがとう」

ゆき、またタップして戻す。

ツキ「ありがとう」

ゆき、腕を組んで目をつむって難しい顔。

ゆき「うーん」

ゆき、眼を開く。

ゆき「……本物だ」

〇英華学園(朝)

”英華学園”の看板。朝日で照らされている。

ゆき、帽子にサングラスにマスク。張り込み。

いかにも不審者然としており周囲の生徒もぎょっとしている。

玲央、登校してくる。

ゆきM「来た」

玲央の後ろを下手くそな尾行。

玲央、振り返る。

ゆき、木の陰に隠れる。

玲央、また少し歩いて振り返る。

ゆき、周囲に隠れるところがなくなってあたふた。口笛。

玲央、ため息をついて歩きはじめる。

”2ーB”の札。

2ーB教室。古文の授業中。

玲央、一番後ろの席で頬杖をついて授業を受けている。

玲央、欠伸をかみ殺す。

玲央、廊下に視線をやる。

玲央、ぎょっとする。

ゆき、廊下側の窓から頭だけを出してこちらを凝視している。

玲央、ため息をついて黒板を見つめ直す。

〇英華学園・カフェテラス(昼)

おしゃれ食堂。外のテラス。

玲央、1人で机に座って本を読みながらサンドウィッチを食べている。

周囲の女生徒たちは、玲央を意識している。が、静か。

玲央、後頭部に視線を感じる。

玲央、振り返るとゆきがこちらを凝視している。

玲央、ため息をついてコーヒーを飲む。

〇英華学園・1年生靴箱

靴箱に夕日が差し込んでいる。

玲央、靴を取るとこすらも絵になる。

玲央、ちらりと横を向く。

ゆき、今にもにじり寄りそうな勢いで靴箱にへばりついている。

玲央、ゆきの目の前に立つ。

ゆき、玲央を見上げる。

玲央「ちょっと来い」

ゆき「え?」

玲央「ちょっと来いって」

玲央、ゆきの腕を掴んで引っ張っていく。

〇英華学園・屋上(夕)

夕焼けの街並み。

玲央、壁にもたれ掛かっている。

玲央「誰もいないか?鍵もした?」

ゆき「はい。誰もいません」

ゆき、扉を確認して玲央の方に駆け寄ってくる。

ゆき、玲央の近くで止まろうとする。

玲央、ゆきを壁に押し付ける。

ゆき、玲央の顔が近くて赤くなる。

ゆき「あ、あの」

玲央、耳元で囁く。

玲央「いったい何のつもり?」
















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