赤いチューリップ~1~
「ゆーかりっ!?元気ないじゃんどしたの??」


親友のマナが言葉とともに私に突進してくる。

その言葉に私は眉をへの字に曲がらせ、涙目で言う。

「お腹痛いー」



そう、ただこんだけの事・・・・・・・って言っても私にとってはとても辛いもの、で泣いていたのだ。




平野紫、ちょっぴり泣き虫な高校2年生の春。





「マナ、一緒に便所行こうー??」

「あー、はいはい。もう便所じゃなくて“トイレ”って言わない?」


私はマナのブレザーのそでを引っ張りながら便所に駆け込んだ。




「便所は便所だもーん」

「でもねぇ、トイレのほうが女の子っぽいって言うか・・・」



「そんなの知らなーい」

シューズのままスリッパを履いてドアを閉める。


「あー!」

「何?何かあったぁ?」


マナはちょっと呆れた様子で言葉を返した。
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