正反対の彼と私の24年を経た恋の結末

48.私を大切にしてくれる彼。

「問題は君がまりなとの婚約中に、子供ができるようなことを彼女の親友としたことでしょ。もう、その時点で君はまりなと結婚するプレミアチケットを捨ててるんですよ」

侑李がため息をつきながら説明口調で誠一を諭し出した。

「侑李の言葉に全文同意だわ。婚約中に他の女と肉体関係を持つような男と誰が結婚したいのよ」

世界で私を一番大切にしてくれて、私が傷ついたことに心を寄せてくれるのは侑李だけだ。
私との結婚する権利がプレミアチケットとは思わないけれど、澱みもなく私と一緒にいることの価値を主張してくれる侑李が好きだ。

「まりなちゃん。私はあなたのことを娘のように思っていたのよ。恵麻さんとの結婚にも反対してたの。恵麻さんに騙されたのは痛み分けということで、戻ってきてくれないかしら? 正直、そのスーパードクターの方より、誠一といた方がまりなちゃんは幸せだと思うわよ」

誠一の母親が親身になったように私に言ってくる。
彼女は夫の介護を私に押し付けたいだけだ。
そして、彼女は恵麻が妊娠したと聞いた時には「この年で孫の顔が見られるなんて」とあっさり私を切り捨てた。

「誠一さんのお母様。これ以上、私には関わらないでください。もし、しつこくするならば、私は婚約破棄の慰謝料を請求させて頂きます。結納も済ませた婚約中に、誠一さんは他の女性と肉体関係を持ったのですよ。正直、汚らわしくてもう関わりたくないです」

「慰謝料だなんて、家族になったら同じ家計じゃない。男の人の浮気の1つや2つは見過ごすのが良い女というものよ」

誠一の母親は私を言いくるめようとしてくる。
私の気持ちを一つも考えてくれない彼女と家族にならなくて心から良かったと心から思った。

「それはお母様の価値観ですよね。お母様は浮気を見過ごしてきた女なのですか? だから、夫への愛情も冷めていて、介護も嫁に任せたいのかしら。交際期間の長さを鑑みると私は誠一さんに200万円くらいの慰謝料を請求できるのですよ。しつこく関わってくるのならば容赦はしませんから」

私の言葉に誠一の母親は顔面蒼白していた。

「まりな、お前、ずっと侑李先輩と繋がっていたのかよ。急に侑李先輩みたいな人がお前なんかと結婚したいだなんておかしいじゃないか」
誠一の的外れな言葉に思わずため息が漏れる。

「まりなの価値がわかってない男は黙っていろ! 今度まりなに付き纏ったら、警察に通報するからな」

私を抱き寄せて、侑李が冷たい口調で誠一に言い放つ。
世界中から軽んじられて奴隷のように扱われても、彼さえ私を大切にしてくれれば良いと心から思った。
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