東雲くんは【平凡】がわからない!
窓際の一番うしろ。
一人の男子生徒が座っている。
黒い髪に白い肌。長い脚を持て余すように投げ出して座る様子からかなりの長身であることがわかる。
でも彼の特徴はそれではなく、その持ち物にある。
最後列に座る彼は、わたしへの拍手を終えると、さっさと机の上の本を手に取りめくり始める。
真っ黒い表紙に赤の文字。百科事典並の分厚さ。金の箔押しがここからでもわかるくらいキラキラしている。
古めかしいそれは、とてもじゃないが教科書には見えなかった。
赤の文字で書かれているのは…
【魔術大全〜基礎から応用まで】
あれは……一体なに!?
何であの人学校であんなもの読んでるの?
「うう…」
わたしは思わず頭を抱える。
「?どうしました、青葉さん」
「あ、いえ。なんでもないです。すみません」
心配そうな先生に笑顔を返したが、頭はまだずんと重い。
やめて。やめて。…そんなもの、私に見せないで。
傷がうずく。思い出してしまう。
あの、忌々しいわたしの過去を。
(やめてー!!
わたし、生まれ変わるんだからー!!)
一人の男子生徒が座っている。
黒い髪に白い肌。長い脚を持て余すように投げ出して座る様子からかなりの長身であることがわかる。
でも彼の特徴はそれではなく、その持ち物にある。
最後列に座る彼は、わたしへの拍手を終えると、さっさと机の上の本を手に取りめくり始める。
真っ黒い表紙に赤の文字。百科事典並の分厚さ。金の箔押しがここからでもわかるくらいキラキラしている。
古めかしいそれは、とてもじゃないが教科書には見えなかった。
赤の文字で書かれているのは…
【魔術大全〜基礎から応用まで】
あれは……一体なに!?
何であの人学校であんなもの読んでるの?
「うう…」
わたしは思わず頭を抱える。
「?どうしました、青葉さん」
「あ、いえ。なんでもないです。すみません」
心配そうな先生に笑顔を返したが、頭はまだずんと重い。
やめて。やめて。…そんなもの、私に見せないで。
傷がうずく。思い出してしまう。
あの、忌々しいわたしの過去を。
(やめてー!!
わたし、生まれ変わるんだからー!!)