【完結版】みっちゃんが愛したヒトは、結ばれてはいけないと思うヒトだった
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自他共にヤリ◯ンだと認める鎌田、34歳の誕生日当日 1月5日 19時10分
19時までのお客様を見送った後、この時間からは俺が経営をしている美容室のスタッフ達の時間が始まる。
各自練習をしたり、俺が指導をしたり、時には”店にとっての特別なお客様“や、”スタッフにとっての特別なお客様“が来店することもある。
新しい年が始まってから5日目の今日は、俺にとって1番大切なお客様が・・・、いや、1番大切な女の子が・・・、誰よりも、何よりも大切な女の子が来店した。
「みっ君、お誕生日おめでとう♪」
スタイリングチェアに座っている今付き合っている彼女が、俺のことを今までの彼女達と同じように”みっ君”と呼んで誕生日のお祝いをしてくれた。
「ありがとう。」
ミラー越しに笑い掛けながら、“普通”の口調でお礼の言葉を伝えた。
俺の見た目は美しすぎるらしく、この仕事をするうえでは面倒なことにもなるので仕事中はいわゆる“オネェ”で通している。
「直接言えて良かったぁ♪
今日のこの時間に予約入れてくれてありがとうね?」
「俺も会いたかったから嬉しいよ。
カットが終わったらご飯に行こうね。」
嘘ではない言葉を伝える。
俺も会いたかったから。
新年最初の開店日、毎年たまたま俺の誕生日になる今日、この時間に会う必要があったから。
「こんなに可愛いスタッフさんが入ったんだね〜?」
彼女が可愛い顔を作ったようにして怒りながら、隣のスタイリングチェアに立っている間中(まなか)のことをミラー越しに見た。
「去年が終わる前に入った子、間中。
腕がめちゃくちゃ良かったから即採用してさ。
青(じょう)からの紹介で入った子なんだよね。」
「青さんって、みっ君の幼馴染みだっていう人だよね?」
「うん、そう。」
「はじめまして、間中です。
店長、可愛い彼女さんですね〜!!」
ミラー越しの間中の顔は、絶対にこう言っている。
“去年私が会った彼女と違う人じゃないですか?”
だから、答えた。
「1月2日から付き合い始めたんだよね。」
「みっ君って昔は同時進行の彼女を何人も作るタイプだったのに、29歳になってからは1人ずつとしか付き合ってくれないって有名なんです〜!
信じられないことに、私の番が来た♪」
「こんなに可愛い女の子を待たせるとか、店長悪い男ですね〜。
そして昔はもっと悪い男でしたね〜。」
「俺こういう見た目だけど昔は性欲強めだったからさ。
でも彼女達もみんなそれを受け入れてくれてたから悪いことはしてないよ?」
「いや、店長、それめっちゃ悪いから。
それで傷付いていた女の子も絶対いたと思いますよ?」
間中が普通のテンションでそう言ってきて、それから間中の前に座っているお客様に向かって声を掛けた。
「ね!!店長のお姉さん!!!」
これから間中が担当をするお客様、俺より1歳上の従姉である愛(あい)姉に同意を求めた。
俺の1番大切な女の子とは、俺の目の前に座っている今の彼女でもなければ隣に立つ間中でも勿論ない。
俺が幼少期から一緒に暮らしていた従姉3人のうちの、1番下の従姉。
俺が29歳で実家を出てからは、俺が施術をする月に1度のヘアカットとヘアマニキュア、シャンプーとヘアセットだけの時間しか会うことはなくなっていたこの女の子・・・。
本当は血が繋がっていないなんていうオイシイ状況ではなく、正真正銘の俺の従姉。
自他共に認める恋多き女である伯母が産んだ、父親が違う3人の女の子。
上の2人の”女王様“とは違い、可哀想なくらい繊細で優しい”普通“の女の子。
常にシングルマザーだった伯母が俺の実家に大金と一緒に置いていった3人の”お姉様“達と、俺は一緒に育ったきた。
両親が経営をしている美容室の近くにある家、そこで両親が家にいてもいなくても俺のことをオモチャにしてくる”お姉様“達からいつも助けようと必死になってくれていたのがこの女の子。
何が起きたのか、あの2人の”お姉様“の妹とは思えないくらいの弱い弱い女の子。
その女の子が、いつも俺のことを守る為に必死になっていた。
自分のことよりも俺のことだけを守ろうとしてくれていた。
そんな愛姉を1人の女の子として愛していると気付いたのは中学の頃。
俺に初めての彼女が出来た時、それを知った愛姉は凄くショックを受けた顔をしていて。
そんな自分にも驚いた様子になっていて、最後は泣きそうな顔をしながらも俺に”おめでとう“と言ってきた。
泣きそうな顔で・・・。
なのに、必死に笑顔を作った全然可愛くはない顔で。
それでも、そんな顔が付き合った彼女よりも可愛くて。
俺にはそういう風に見えて。
強いクセのある髪の毛に薄い顔の、誰が見ても”可愛い“とは思えない顔をしているはずなのに。
俺だって”可愛い“と思ったことがないはずなのに。
なのに、愛姉が酷く傷付きながらも笑ったその顔が、俺にはどうしようもなく可愛く見えて。
とうしようもなく、愛おしく思えてしまった。
”いや、めっちゃ悪いから。
それで傷付いていた女の子も絶対いたと思いますよ?
ね!!店長のお姉さん!!!”
間中からのその言葉に、俺が本当に付き合いたくて本当にやりたかった相手である愛姉は、ミラーの中で泣きそうな顔で小さく笑っているだけだった。
俺が色んな女の子達と、何人もの女の子達と、付き合って、そしてやりまくっているのを誰よりも傷付いていたはずの愛姉は、やっぱりそんな顔で笑っていた。
19時までのお客様を見送った後、この時間からは俺が経営をしている美容室のスタッフ達の時間が始まる。
各自練習をしたり、俺が指導をしたり、時には”店にとっての特別なお客様“や、”スタッフにとっての特別なお客様“が来店することもある。
新しい年が始まってから5日目の今日は、俺にとって1番大切なお客様が・・・、いや、1番大切な女の子が・・・、誰よりも、何よりも大切な女の子が来店した。
「みっ君、お誕生日おめでとう♪」
スタイリングチェアに座っている今付き合っている彼女が、俺のことを今までの彼女達と同じように”みっ君”と呼んで誕生日のお祝いをしてくれた。
「ありがとう。」
ミラー越しに笑い掛けながら、“普通”の口調でお礼の言葉を伝えた。
俺の見た目は美しすぎるらしく、この仕事をするうえでは面倒なことにもなるので仕事中はいわゆる“オネェ”で通している。
「直接言えて良かったぁ♪
今日のこの時間に予約入れてくれてありがとうね?」
「俺も会いたかったから嬉しいよ。
カットが終わったらご飯に行こうね。」
嘘ではない言葉を伝える。
俺も会いたかったから。
新年最初の開店日、毎年たまたま俺の誕生日になる今日、この時間に会う必要があったから。
「こんなに可愛いスタッフさんが入ったんだね〜?」
彼女が可愛い顔を作ったようにして怒りながら、隣のスタイリングチェアに立っている間中(まなか)のことをミラー越しに見た。
「去年が終わる前に入った子、間中。
腕がめちゃくちゃ良かったから即採用してさ。
青(じょう)からの紹介で入った子なんだよね。」
「青さんって、みっ君の幼馴染みだっていう人だよね?」
「うん、そう。」
「はじめまして、間中です。
店長、可愛い彼女さんですね〜!!」
ミラー越しの間中の顔は、絶対にこう言っている。
“去年私が会った彼女と違う人じゃないですか?”
だから、答えた。
「1月2日から付き合い始めたんだよね。」
「みっ君って昔は同時進行の彼女を何人も作るタイプだったのに、29歳になってからは1人ずつとしか付き合ってくれないって有名なんです〜!
信じられないことに、私の番が来た♪」
「こんなに可愛い女の子を待たせるとか、店長悪い男ですね〜。
そして昔はもっと悪い男でしたね〜。」
「俺こういう見た目だけど昔は性欲強めだったからさ。
でも彼女達もみんなそれを受け入れてくれてたから悪いことはしてないよ?」
「いや、店長、それめっちゃ悪いから。
それで傷付いていた女の子も絶対いたと思いますよ?」
間中が普通のテンションでそう言ってきて、それから間中の前に座っているお客様に向かって声を掛けた。
「ね!!店長のお姉さん!!!」
これから間中が担当をするお客様、俺より1歳上の従姉である愛(あい)姉に同意を求めた。
俺の1番大切な女の子とは、俺の目の前に座っている今の彼女でもなければ隣に立つ間中でも勿論ない。
俺が幼少期から一緒に暮らしていた従姉3人のうちの、1番下の従姉。
俺が29歳で実家を出てからは、俺が施術をする月に1度のヘアカットとヘアマニキュア、シャンプーとヘアセットだけの時間しか会うことはなくなっていたこの女の子・・・。
本当は血が繋がっていないなんていうオイシイ状況ではなく、正真正銘の俺の従姉。
自他共に認める恋多き女である伯母が産んだ、父親が違う3人の女の子。
上の2人の”女王様“とは違い、可哀想なくらい繊細で優しい”普通“の女の子。
常にシングルマザーだった伯母が俺の実家に大金と一緒に置いていった3人の”お姉様“達と、俺は一緒に育ったきた。
両親が経営をしている美容室の近くにある家、そこで両親が家にいてもいなくても俺のことをオモチャにしてくる”お姉様“達からいつも助けようと必死になってくれていたのがこの女の子。
何が起きたのか、あの2人の”お姉様“の妹とは思えないくらいの弱い弱い女の子。
その女の子が、いつも俺のことを守る為に必死になっていた。
自分のことよりも俺のことだけを守ろうとしてくれていた。
そんな愛姉を1人の女の子として愛していると気付いたのは中学の頃。
俺に初めての彼女が出来た時、それを知った愛姉は凄くショックを受けた顔をしていて。
そんな自分にも驚いた様子になっていて、最後は泣きそうな顔をしながらも俺に”おめでとう“と言ってきた。
泣きそうな顔で・・・。
なのに、必死に笑顔を作った全然可愛くはない顔で。
それでも、そんな顔が付き合った彼女よりも可愛くて。
俺にはそういう風に見えて。
強いクセのある髪の毛に薄い顔の、誰が見ても”可愛い“とは思えない顔をしているはずなのに。
俺だって”可愛い“と思ったことがないはずなのに。
なのに、愛姉が酷く傷付きながらも笑ったその顔が、俺にはどうしようもなく可愛く見えて。
とうしようもなく、愛おしく思えてしまった。
”いや、めっちゃ悪いから。
それで傷付いていた女の子も絶対いたと思いますよ?
ね!!店長のお姉さん!!!”
間中からのその言葉に、俺が本当に付き合いたくて本当にやりたかった相手である愛姉は、ミラーの中で泣きそうな顔で小さく笑っているだけだった。
俺が色んな女の子達と、何人もの女の子達と、付き合って、そしてやりまくっているのを誰よりも傷付いていたはずの愛姉は、やっぱりそんな顔で笑っていた。
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