【完結版】みっちゃんが愛したヒトは、結ばれてはいけないと思うヒトだった
数分後


初めて入った、定光が一人暮らしをしている家の中、“綺麗”とは言えないようなリビングにあるソファーに2人で並んで座っている。


定光と私が生まれ変わった日から、私達は毎日会っていた。
でもそれは2人きりではなくて、子ども達やオバサンやオジサンも一緒に、みんなで暮らしていた家で。


やっと家に帰って来た定光に、オバサンやオジサン以上に子ども達は凄く凄く喜んでいた。


それは当たり前のことで。


だって、定光は本当に“パパ”だった。


今はみんな大きくなって我が家の事情も深く理解をし“定兄”と呼んでいるけれど、小さな頃は“パパ”と呼んで定光のことを本物の“パパ”なのだと思っていた。


“パパはママがいるのにどうして他の女の人の所に行っちゃうの?”


お互いに作っていた休憩時間、定光はその時間に必ず青君か彼女と会っていた。
バイトをしていた青君が会えない時には、その時間に会うことが出来た“彼女”と必ずデートをしに行っていた。
それが分かるくらいの年齢になった子ども達がそんな言葉を定光に何度も言っていたくらい、定光は本物の“パパ”だった。


「この家・・・どう見ても子どもがいる男の人の家だね?」


初めて入った定光の家のリビングには、我が家の子ども達の物で溢れていた。


棚にも壁にも子ども達と一緒に撮った写真が沢山飾られている。
それに、私が確認をした後の学校のプリントの束、私と一緒に買いに行った大学受験の問題集、私がプレゼントをした部活の練習着。


私が映っている写真もなければ私の物も当たり前だけどない。
奥さんがいるかは不明な、でも絶対に大きな子どもがいる男の人の家だった。


「少し前まで付き合っていた彼女の物は片付けてくれたの?
忙しい中わざわざごめんね?
今更大丈夫だったのに。」


本当にそう思っていたのでそう言うと、定光は少し無言になった後に答えた。


「家に彼女を上げたことはないよ。
従姉の子どもの世話をしてるとは言ってるけど、誰もここまでだとは思ってない。
普通は思わないだろうし。」


定光がそう言いながらも幸せそうに家の中を見渡した。


「ヤリ◯ンとはいえ、こんなに大きな子どもが、俺の本物の子どもが4人もいるとなると、ドン引きされるだろうし。」


ドン引きをされると言っているその顔はやっぱり幸せそうに笑っている。


そして・・・


「これさ、子ども達がここにわざと置いて行ってたらしい。」


定光がそう言って・・・


私のことをゆっくりと見てきた。


「俺が子ども達のことを忘れるなんてことは誰も心配をしてなかったらしいけど、子ども達はみんなめちゃくちゃ心配してたんだって。」


「あの子達が・・・?何を?」


「4人も大きな子ども達がいるヤリ◯ンの俺と結婚したいなんて思うヤバめの女の子が現れて、俺もその女の子“で”良いかなと思うことを。」


「それがどうして心配だったんだろう・・・。」


「“愛花”と“定兄”が幸せになれないことを、子ども達はめちゃくちゃ心配してた。」
< 23 / 37 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop