【完結版】みっちゃんが愛したヒトは、結ばれてはいけないと思うヒトだった
「今回は私が担当になりましたので、私にお任せして貰えますか?
愛姉さんの魅力を引き出した可愛いヘアスタイルにします!
生まれ変わったくらいの可愛い女の人にしてみせます!!」
真中の横顔が愛姉に向かってそう言った。
「今は縮毛矯正じゃなくてもクセをおさえながら活かせるトリートメントもありますよ?
自然な仕上がりになるので私はこっちの方がオススメですし、まず愛姉さんって横顔とか首のラインが凄く綺麗だから、絶対にショートが似合う!!
それに絶対もっと明るい髪色が似合う!!」
真中がそう続け、俺のことを見てきた。
「ですよね?店長!!」
それを聞き、俺は頷こうとした。
その通りすぎて、頷くしかないと思った。
でも、頷けなくて。
この頭が何も動いてはくれなくて。
そのヘアスタイルは俺が愛姉を初めて可愛くしたヘアスタイルで。
まだ中学生だった俺の・・・、初めての彼女が出来る前の俺の、初めてのお客様は愛姉だった。
俺の両親からも髪の毛を触られることを嫌がり、伸びっぱなしだった髪の毛を愛姉は俺にだけは触ることを許せていたから。
愛姉の髪の毛を初めて切ったのは、俺だった。
愛姉の“初めて”は俺が貰った。
愛していると自覚をしてからは愛姉と手を繋ぐことどころか髪の毛以外に触れることも出来ない、キスもセックスも出来ない俺だけど、その“初めて”は俺が貰えた。
愛姉のこのヘアスタイルを見ているだけでそう思え、俺は愛姉に手を出すなんていう大バカなことはしないで済んでいた。
愛姉のこの“初めて”だけが貰えていれば俺はそれで良かった。
俺は、それで良かった・・・。
いつも自分のことよりも俺のことを守ろうと必死になっていた愛姉のことを俺自身から守る為にも、それで良かった・・・。
だから、変えないで・・・。
そのヘアスタイルだけは、変えないで・・・。
お願いだから、変えないで・・・。
頷くことも出来ない、でもその願いを口から出すことも出来ない。
苦しい・・・。
めちゃくちゃ苦しい・・・。
こんなの、めちゃくちゃ苦しい・・・。
「愛姉さんのそのヘアスタイル、鎌田(かまた)さんの思い出のヘアスタイルなんですか?」
静まり返っていた店内に響いたのは、”今の彼女“・・・望(のぞみ)ちゃんの声だった。
愛姉さんの魅力を引き出した可愛いヘアスタイルにします!
生まれ変わったくらいの可愛い女の人にしてみせます!!」
真中の横顔が愛姉に向かってそう言った。
「今は縮毛矯正じゃなくてもクセをおさえながら活かせるトリートメントもありますよ?
自然な仕上がりになるので私はこっちの方がオススメですし、まず愛姉さんって横顔とか首のラインが凄く綺麗だから、絶対にショートが似合う!!
それに絶対もっと明るい髪色が似合う!!」
真中がそう続け、俺のことを見てきた。
「ですよね?店長!!」
それを聞き、俺は頷こうとした。
その通りすぎて、頷くしかないと思った。
でも、頷けなくて。
この頭が何も動いてはくれなくて。
そのヘアスタイルは俺が愛姉を初めて可愛くしたヘアスタイルで。
まだ中学生だった俺の・・・、初めての彼女が出来る前の俺の、初めてのお客様は愛姉だった。
俺の両親からも髪の毛を触られることを嫌がり、伸びっぱなしだった髪の毛を愛姉は俺にだけは触ることを許せていたから。
愛姉の髪の毛を初めて切ったのは、俺だった。
愛姉の“初めて”は俺が貰った。
愛していると自覚をしてからは愛姉と手を繋ぐことどころか髪の毛以外に触れることも出来ない、キスもセックスも出来ない俺だけど、その“初めて”は俺が貰えた。
愛姉のこのヘアスタイルを見ているだけでそう思え、俺は愛姉に手を出すなんていう大バカなことはしないで済んでいた。
愛姉のこの“初めて”だけが貰えていれば俺はそれで良かった。
俺は、それで良かった・・・。
いつも自分のことよりも俺のことを守ろうと必死になっていた愛姉のことを俺自身から守る為にも、それで良かった・・・。
だから、変えないで・・・。
そのヘアスタイルだけは、変えないで・・・。
お願いだから、変えないで・・・。
頷くことも出来ない、でもその願いを口から出すことも出来ない。
苦しい・・・。
めちゃくちゃ苦しい・・・。
こんなの、めちゃくちゃ苦しい・・・。
「愛姉さんのそのヘアスタイル、鎌田(かまた)さんの思い出のヘアスタイルなんですか?」
静まり返っていた店内に響いたのは、”今の彼女“・・・望(のぞみ)ちゃんの声だった。