自らを越えて

性格判断ゲーム

一方そんな素振りはいっさい見せずに「どれどれ?」とばかりにミカが手を出しカナも続く。ただしミカは使っている箸で、カナはお握りを頬張っている方のその右手で柴漬けを取ったのだった。しかも2、3切れいっぺんに。それぞれ「旨い」とか肯定的にうなずくミカとカナに「お前らな…」という顔をして呆れる大伴さんだったが何も云わなかった。「もっとドンドン召し上がれ、村田君」と云って俺に近い岩の上に器を置いてくれる。こうして八部通り皆が昼食を取り終わったころに大伴さんが「じゃここらでゲームをしましょうか。性格判断ゲーム。いい?」と余興を申し出る。「えー?性格判断ゲームですか?」ミカが云い「なにそれ?」と柴漬けの最後の一切れを頬張りながらカナが聞く。大伴さんは何やらテータに挟んだ紙とボールペンを取り出して「これからさ、私がいくつかの質問をするからそれにイエスかノー、もしくはどちらとも云えないで答えて。いいね?…えーっとちょっと待った。3人の名前をまず書いて…と。よしOK。じゃ行くよ」と告げる。何やら面白そうだ。大伴さんはカナとミカのためにわざわざこんな余興を準備して来たのだろうか。始めに俺は居なかったはずだ、後から飛び入りで入ったのだから。そう思うとK大パーティの和田と名乗った人物が「感じ入りました、大伴嬢」と告げた心境が俺にも伝染する気がした。
「1番目の質問。あなたは、自分は他人に評価されているか悪く思われていないかと、いつも気になりますか?…どう?はい、村田君から答えて」
へー、こんな感じで来るのかと合点が行く。俺は躊躇なくイエスと答えた。もろ自分のことださえ思える。ミカは「はい、なります。イエスです」でカナは「あたしゃノーだね。他人がどう思おうが知ったこっちゃないよ」と答える。大伴さんが何やらテータの用紙に記入する。続いて
「2番目ね。あなたは、自分は正論を述べているのに、なぜ他人は分かってくれないのだろう…と思いますか?」
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