自らを越えて

黒い霧へと…(1)

 ところでここに記した「外つ国」とはランボーの詩、いやランボーの放浪に憧れる余り、漠然とではあるが、自分のこの孤独癖という奇形を矯正する為には、一度日本を飛び出して外国を放浪するぐらいの刺激が必要か…などと思い始めていたことによるのだが、詩上では早くもその外国への旅(というか実際は逃げ!)が既に実現しており、なお且つその地でも非人扱いされるだろうことを危惧している始末である。しかしそのような詩の設定や、まして外国での放浪旅云々などはここでは拙速に過ぎるというものだろう。なぜならその実行となると、この拙小説の終い章あたりのこととなるのだし、彼の地での沙汰となるとこれはもう小説そのものを改めなければならなくなるからだ。重ねて、拙速な話の展開はすまい…。
 さてこのような読書からの感化のみならず俺にはもっと馴染みの深いコネクションが、殆ど24時間行動を共にする媒体というか、存在があることを前に述べたがご記憶だろうか?わが心の中で第一人称の思考形を取りながら常に俺に語りかけて来る異次元の存在、〝黒い霧〟のことであるが。
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