自らを越えて

♬オクラホマミキサー♬(1)

その1回だけの接触というのを此処で披露せねばならないが、まさかその事(繰り返し、俺にとっては超快事だった)だけで彼女が俺の存在を知ったとはとても思えない。その折りに名前すら告げはしなかった。で、その快事というのはわずかな時間だけ俺は彼女を横に抱きかかえるようにして彼女とダンスをしたことがあるのだ。それはフォークダンスだったのであり、例の有名なオクラホマミキサーだった。どういう粋なはからいだったのか、あるいは滅多にない偶然だったのか知らないが、俺が1年生の時に(確か)体育祭の行事とかで男女によるフォークダンスの披露が計画されていた。そのとき俺のクラスは体育の時間割だったのだが急遽3年生女子のクラスのダンスの練習相手に指名されたのだった。我が高校は鉄筋4階建ての校舎が2棟並行して建っていて、その間にコンクリートで舗装された中庭がある。ダンスはそこで行われたのだが意味するところは校舎内で授業中だった全校生徒らの目に俺たちが晒されたということで(少なくも窓側の生徒らには)そしてその六分の一は3年生の男子生徒だったろうから、彼らの目にはあまり有難くない眺めだったのではないか。とにかく以下その折りを記す。
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