君の甘い声で何回も好きと言って【マンガシナリオ正反対な2人】
第2話:みゅーじっく
○学校・教室前(入学式が終わり・HR中)
汐音「なんとかまだホームルーム中か。
よし、入るぞ。」
苑「あ、いや、ちょっと!」
汐音「何?」
苑「いつまで、手をつなぐつもりで…」
2人は教室前までずっと手をつないでいた
汐音「ああ…すまん。」
パッと手を離す
苑は汐音の顔を見上げて、電車でのキスのことを思い出してしまう
≪回想≫
電車での事故キス後、
電車を降りてからもずっと2人は無言だった…
汐音「…」
苑「…」
その間も手は繋いでいた…
≪回想終わり≫
苑(いやいやいや!
あれは違う違う!
いつもだって、シゲゾーとキッスしてるじゃない。
…そう、あれはシゲゾー。
……あれはシゲゾー…。)
汐音がシゲゾーに見えてくる苑
苑「フフっ」
汐音「何笑ってんだよ田舎女。ずいぶん余裕だな。
教室入るぞ。」
苑「は、はい…!」
ガラッ
汐音「すみません。遅れました。」
先生「おう、入学にした日に堂々と遅刻とは…お前ら目立ってくれるなあ…
もう自己紹介は一通り済んだから、お前らも自己紹介してくれ…」
汐音「あ…はい。
景山汐音です。」
ざわっ
モブ「イケメン…」
モブ「このクラス当たりね…」
汐音「中学のときからバンドを組んでいて、そいつらと一緒に軽音部に入ろうと思っています。バンド興味あるやつ聞きに来てください。」
モブ「バンドマン…」
モブ「かっこいい…」
モブ「バンドマンの彼女も悪くないわね…」
先生「おっほん。静かに…。ほら、髙橋も、自己紹介を。」
苑「は、はい…!髙橋苑です。小さな村から転校してきて東京にでてきました。東京は慣れなくて緊張してますがy…よろしくおねぎゅいしめす!!」
モブ「噛んだ…」
モブ「イケメンの陰で見えなかったけどいたのね…」
モブ「絵にかいたような田舎少女…」
先生「お前らの席はあそこと、あそこだから座って続きの話を聞け~」
汐音が席へと向かうとざわざわしている女子たち
汐音の隣の席のモブ女子「よっしゃあ!隣の席!!」
※苑の席と汐音の席は少し離れている
苑(ここか…
こんなに人がたくさんいる教室はじめてだ…
机もなんかツルツルでかっこいい…!)
机に頬をすりすりする苑
目をキラキラさせて机を眺めている苑の姿を、笑顔で見守っていた男子がひとり。(南雲 総くん)
○昼食時間
苑(な、なんか…もう出来上がっているのですが…)
みんな各々グループが出来上がっていて、机をくっつけてご飯を食べている中、一人でご飯を食べている苑。
モブ「え、マイスタでフォローしてるよね?」
モブ「一回DMで話したこだよね~!」
モブ「○○中のコと私つながってて知ってるよ~!」
苑「何語でしょうか…」
苑(汐音くんは…)
キラキラ女子たちと一軍男子に囲まれてご飯を食べている汐音。
苑(まぶしい…!!
一緒に住んでたから忘れてましたが、汐音くんはキラキラ男子でした…)
美桜「ねえねえ苑ちゃんってさあ、マイスタやってる~?」
苑(話しかけてくれた!優しい…!)
苑「やってないです…!」
美桜「え、じゃあ楽しいから一緒にやろうよ!」
苑「やります!どうすればできますか!」目をキラキラさせる苑
美桜「え、普通にアプリ入れたらできるよ?」
苑「アプリ…」
美桜「え…?え、スマホは?」
苑「持ってないです…」
美桜「え…?」
苑「じーぴーえすならあります!」
美桜「GPS………」
クラスメイトたち「美桜こっちきて〜ビーバーズがライブしてる!」
美桜「あ、うん!
ごめん苑ちゃん、また今度話そ~ね~」
仲良し4人グループのもとに走って帰ってしまう美桜
苑(いってしまった…。
せっかくやさしく話しかけてくれたのに…。
やっぱあの時スマホ買ってもらえばよかったんですね…)
≪回想≫
母父「入学前にスマホ買っておく?」
苑「クラスのみんながどれだけ持ってるかみてからにする!
苑だけ持ってたら目立っちゃうし!(どや顔)」
≪回想終わり≫
苑(お父さんに頼んでみましょ…)
苑「とりあえず、今日は1人で食べますか…」
○3日後・教室にて
苑(あれ…。
これ……
このままずっと1人なのでは…?)
みんなが盛り上がっている中ひとりご飯食べている苑
クラスメイト「みんなで写真とろ~」
パシャリ
苑も写真の端っこに写る
クラスメイト「えみんなシェアするね~スマホだして~」
クラスメイトたち(あ…)
苑を気遣うクラスメイトたち
苑(しかもなんだか…
気を遣われている気が…)
田舎の友達のことを思い出す苑
苑(村にたくさん友達がいたのは、みんな小さいころからずっと一緒だったから…
私って友達の作り方知らなかったんですね…)
その姿をこっそりと見ている汐音
○家にて
苑「ただいまです…」
苑(よし、明日のお弁当を作っておきますか…)
キッチンで料理を始まる苑
そこにギターを持った汐音が帰宅する
汐音「お前、いつも自分でお弁当作ってるのか」
苑「は、はい!」
汐音「これひとくちちょーだい」あ〜ん
「あーん」と口を開ける汐音
苑(こ、これは…
シゲゾーですね!!)
シゲゾーと汐音の姿が重なる苑
汐音の口に肉巻きアスパラをひとつ入れる
汐音「モグモグモグ…」
食べている姿を見てシゲゾーを思い出し、
苑は満面の笑みになる
苑「おいしいですか…!ニコニコニコ」
汐音「まあまあだな。」
苑「おいしいんですね(o^^o)
お母さん直伝のレシピなのでおいしいのは当たり前です!」
汐音「お前さ…
そうやって笑えよ。」
いつも1人でごはん食べている苑を思い出す汐音
汐音「田舎くせえメシばっか作ってねえで……」
苑「?」
汐音「……まあいいや。」
そう言って自室へ行ってしまう汐音
苑「……?」
○学校(昼食時間)
いつものように1人でご飯食べてる苑
苑(今日も1人ですね…
せっかく肉巻きアスパラおいしくできたのに…)
ピーンポーンパーンポーン
汐音「あー
今から軽音部昼休みライブします。
ぜひみなさん体育館に来てください。
…
どっかの田舎女も1人で飯食ってんなら来れば。」
ピーンポーンパーンポーン
モブ「きゃーー!!」
モブ「みんないこーー!!!!」
苑(汐音くんの声…ライブやるんですね…
…ん??
1人で飯食ってる…田舎女…??
誰がなんと言っても私じゃないですか!!)
クラスを見渡すとみんなライブを見に行っているのかほとんど人がいない
苑(行きましょう…!)
○体育館
みんな「「きゃーーーー!!!」」
モブ「ギターボーカルの景山汐音かっこよすぎ…!」
モブ「同じ学校になれたのまじで神!!」
ライブはもう始まっていて、汐音はギターを弾きながら優しい声で歌っている
みんな「きゃーーーーー♡」
その姿は楽しそうで、キラキラしている
聞いているみんなも汗だくで輝いている
苑(歌がこんなにキラキラしてるなんて…
知らなかった)
苑の方を見て歌っている汐音
苑(今、こっち見っ…)
モブ(きゃーーーー!今こっち見たーーー!)
モブ(え、絶対こっち見てた!)
苑(なんだ…私じゃない…ですよね…)
○体育館を出た外
歩いて教室へ帰る苑
苑(汐音くんの歌、キラキラしてたな…
よし、私もがんばります!!
この学校で、めざせ友だち100人!)
モブ「いまのボーカルめっちゃかっこよくなかった!?」
モブ「シオンくんでしょ!」
モブ「この辺にいるんじゃない?」
モブ「探せ〜!」
モブ「シオンくん、どこ〜!!!!」
苑(汐音くん、早速人気ですね……)
苑「うわっ」
陰から何者かの手が現れて苑を抱き寄せる
苑「うわっ!」
汐音「静かにして…」
苑「この声は…汐音くん…?」
後ろから抱きしめられているので、顔は見えないが声で汐音だとわかる。
汐音は苑の首の匂いを嗅ぐ
汐音「はあ…
疲れた……
田舎のにおい嗅がせて…」
苑「なっ…!」
逃げようとする汐音
汐音はさらに力を入れるので逃げられない
苑「こんなこと…できる女の子いっぱいいるんじゃないですか…」
汐音「だーめ。このにおいがいいの、俺。
都会のうるせえのを忘れられるにおい。
それに…
今日はお前のために歌ったから。」
苑「…っ///」
苑(汐音くんの息がかかってくすぐったい…)
苑「私のために歌った…?」
汐音「そう。お前…今なんか悩んでるだろ…?」
苑「友だちほしいです…けど東京の子と何話せばいいかわからず、話しかける勇気もなくて。
私って生まれた時からみんな一緒だったから、友達の作り方知らなかったんです。」
汐音「……逆にお前と話したいって思ってるやつ、いるんじゃねぇの?」
苑「いやあ、こんな田舎者に話しかけてくれる子なんて…」
汐音「ほら。」
汐音が苑をポイっと外へ投げると
クラスメイトの美桜が少し遠くに立っている
苑のことを探しているのか、美桜はキョロキョロしている
苑の存在に気づき駆け寄ってくる美桜
美桜「あ!いた!苑ちゃん…」
走って近づいて来る。
美桜「あのさ…これ!」
少し息を切らせたまま、スマホを差し出す澪
美桜「これさ、昔私が使ってたスマホなんだけど、多分家で電波あるところなら使えるから、これで連絡取らない?」
…正直、うちらスマホばっかりで
学校で会ってもSNSとかアイドルの話しかしなくてつまらなかったと思うんだよね…」
苑(美桜ちゃん…)
美桜「これからは、ウチらも気をつけるから!
…明日から、一緒にお昼ごはん…食べない?」
苑「……!!」
苑「ぜ、ぜひっ…!
私でよかったら…!」
腕を差し出して、腰を90度に曲げる苑
苑の手を取り喜ぶ美桜
美桜「ほんと!?
…実は一昨日からこのスマホ持ってきてたんだよね。
キモいかなあと思って渡せなくて…
でも今日の汐音くんたちの歌聞いてたら、勇気出して話しかけてみようと思えてきたの」
苑(汐音くんの歌のパワー…すごい…)
苑「ふ、ふつつか者ですが…よろしくお願いします!」
美桜「アハハ!!やっぱり、"苑"面白いね。」
苑「その…!」パァァと顔が明るくなる苑
美桜「苑も、ミオって呼んで?」
苑「ミミミミミオ!」
澪「アハハハハ(涙)」
苑(汐音くんは、すごいです…
汐音くんの歌で前向きになった人が何人いるんだろう…)
そんな2人の様子を見ている汐音
フッと微笑む
《回想(汐音side)》
○教室で
スマホを2台持って、苑のことを見つめ何か悩んでいる様子の美桜
汐音「あいつ、喜ぶと思うよ?」
美桜「え…?」
スマホと汐音の顔を交互に見て、驚いた表情の澪
美桜「どうだろ…いきなりスマホ渡すなんてキモいかなって怖くて。ほらスマホ使うの強制してるみたいだし…。」
汐音「行動するの怖くて悩んでるんだったら、明日の昼バンド聴きにきて」
美桜「え?あ、う、うん…」
《回想終わり》
美桜と別れ、汐音のもとへ走って戻る苑
苑「汐音くん…ありがとうございます!」
汐音「俺は歌いたい曲、歌っただけだけどな」
苑(東京にきてから、私
汐音くんに助けてもらってばっかり…)
苑「何か私にできることはありますか!私にできることならなんでもします!」
汐音「ん〜じゃあ…」
苑を抱きしめる汐音
汐音が耳元で囁く
汐音「俺が疲れたら、苑の匂いかがせて?」
苑「……っ!!あれですか……!」
何回か匂いを嗅がれたときの近さを思い出して
みるみるうちに顔が赤くなる苑
汐音「じゃ、俺よく疲れるから…田舎のばあちゃんの匂い頼むな」
汐音が口角を上げて少し笑顔を浮かべる
苑(汐音くんが笑った………)
どこかへ行ってしまう汐音
苑は一息ついて下を向く
その顔はさらに赤く染まっている
苑(汐音くんといると心臓が持ちません…)
汐音「なんとかまだホームルーム中か。
よし、入るぞ。」
苑「あ、いや、ちょっと!」
汐音「何?」
苑「いつまで、手をつなぐつもりで…」
2人は教室前までずっと手をつないでいた
汐音「ああ…すまん。」
パッと手を離す
苑は汐音の顔を見上げて、電車でのキスのことを思い出してしまう
≪回想≫
電車での事故キス後、
電車を降りてからもずっと2人は無言だった…
汐音「…」
苑「…」
その間も手は繋いでいた…
≪回想終わり≫
苑(いやいやいや!
あれは違う違う!
いつもだって、シゲゾーとキッスしてるじゃない。
…そう、あれはシゲゾー。
……あれはシゲゾー…。)
汐音がシゲゾーに見えてくる苑
苑「フフっ」
汐音「何笑ってんだよ田舎女。ずいぶん余裕だな。
教室入るぞ。」
苑「は、はい…!」
ガラッ
汐音「すみません。遅れました。」
先生「おう、入学にした日に堂々と遅刻とは…お前ら目立ってくれるなあ…
もう自己紹介は一通り済んだから、お前らも自己紹介してくれ…」
汐音「あ…はい。
景山汐音です。」
ざわっ
モブ「イケメン…」
モブ「このクラス当たりね…」
汐音「中学のときからバンドを組んでいて、そいつらと一緒に軽音部に入ろうと思っています。バンド興味あるやつ聞きに来てください。」
モブ「バンドマン…」
モブ「かっこいい…」
モブ「バンドマンの彼女も悪くないわね…」
先生「おっほん。静かに…。ほら、髙橋も、自己紹介を。」
苑「は、はい…!髙橋苑です。小さな村から転校してきて東京にでてきました。東京は慣れなくて緊張してますがy…よろしくおねぎゅいしめす!!」
モブ「噛んだ…」
モブ「イケメンの陰で見えなかったけどいたのね…」
モブ「絵にかいたような田舎少女…」
先生「お前らの席はあそこと、あそこだから座って続きの話を聞け~」
汐音が席へと向かうとざわざわしている女子たち
汐音の隣の席のモブ女子「よっしゃあ!隣の席!!」
※苑の席と汐音の席は少し離れている
苑(ここか…
こんなに人がたくさんいる教室はじめてだ…
机もなんかツルツルでかっこいい…!)
机に頬をすりすりする苑
目をキラキラさせて机を眺めている苑の姿を、笑顔で見守っていた男子がひとり。(南雲 総くん)
○昼食時間
苑(な、なんか…もう出来上がっているのですが…)
みんな各々グループが出来上がっていて、机をくっつけてご飯を食べている中、一人でご飯を食べている苑。
モブ「え、マイスタでフォローしてるよね?」
モブ「一回DMで話したこだよね~!」
モブ「○○中のコと私つながってて知ってるよ~!」
苑「何語でしょうか…」
苑(汐音くんは…)
キラキラ女子たちと一軍男子に囲まれてご飯を食べている汐音。
苑(まぶしい…!!
一緒に住んでたから忘れてましたが、汐音くんはキラキラ男子でした…)
美桜「ねえねえ苑ちゃんってさあ、マイスタやってる~?」
苑(話しかけてくれた!優しい…!)
苑「やってないです…!」
美桜「え、じゃあ楽しいから一緒にやろうよ!」
苑「やります!どうすればできますか!」目をキラキラさせる苑
美桜「え、普通にアプリ入れたらできるよ?」
苑「アプリ…」
美桜「え…?え、スマホは?」
苑「持ってないです…」
美桜「え…?」
苑「じーぴーえすならあります!」
美桜「GPS………」
クラスメイトたち「美桜こっちきて〜ビーバーズがライブしてる!」
美桜「あ、うん!
ごめん苑ちゃん、また今度話そ~ね~」
仲良し4人グループのもとに走って帰ってしまう美桜
苑(いってしまった…。
せっかくやさしく話しかけてくれたのに…。
やっぱあの時スマホ買ってもらえばよかったんですね…)
≪回想≫
母父「入学前にスマホ買っておく?」
苑「クラスのみんながどれだけ持ってるかみてからにする!
苑だけ持ってたら目立っちゃうし!(どや顔)」
≪回想終わり≫
苑(お父さんに頼んでみましょ…)
苑「とりあえず、今日は1人で食べますか…」
○3日後・教室にて
苑(あれ…。
これ……
このままずっと1人なのでは…?)
みんなが盛り上がっている中ひとりご飯食べている苑
クラスメイト「みんなで写真とろ~」
パシャリ
苑も写真の端っこに写る
クラスメイト「えみんなシェアするね~スマホだして~」
クラスメイトたち(あ…)
苑を気遣うクラスメイトたち
苑(しかもなんだか…
気を遣われている気が…)
田舎の友達のことを思い出す苑
苑(村にたくさん友達がいたのは、みんな小さいころからずっと一緒だったから…
私って友達の作り方知らなかったんですね…)
その姿をこっそりと見ている汐音
○家にて
苑「ただいまです…」
苑(よし、明日のお弁当を作っておきますか…)
キッチンで料理を始まる苑
そこにギターを持った汐音が帰宅する
汐音「お前、いつも自分でお弁当作ってるのか」
苑「は、はい!」
汐音「これひとくちちょーだい」あ〜ん
「あーん」と口を開ける汐音
苑(こ、これは…
シゲゾーですね!!)
シゲゾーと汐音の姿が重なる苑
汐音の口に肉巻きアスパラをひとつ入れる
汐音「モグモグモグ…」
食べている姿を見てシゲゾーを思い出し、
苑は満面の笑みになる
苑「おいしいですか…!ニコニコニコ」
汐音「まあまあだな。」
苑「おいしいんですね(o^^o)
お母さん直伝のレシピなのでおいしいのは当たり前です!」
汐音「お前さ…
そうやって笑えよ。」
いつも1人でごはん食べている苑を思い出す汐音
汐音「田舎くせえメシばっか作ってねえで……」
苑「?」
汐音「……まあいいや。」
そう言って自室へ行ってしまう汐音
苑「……?」
○学校(昼食時間)
いつものように1人でご飯食べてる苑
苑(今日も1人ですね…
せっかく肉巻きアスパラおいしくできたのに…)
ピーンポーンパーンポーン
汐音「あー
今から軽音部昼休みライブします。
ぜひみなさん体育館に来てください。
…
どっかの田舎女も1人で飯食ってんなら来れば。」
ピーンポーンパーンポーン
モブ「きゃーー!!」
モブ「みんないこーー!!!!」
苑(汐音くんの声…ライブやるんですね…
…ん??
1人で飯食ってる…田舎女…??
誰がなんと言っても私じゃないですか!!)
クラスを見渡すとみんなライブを見に行っているのかほとんど人がいない
苑(行きましょう…!)
○体育館
みんな「「きゃーーーー!!!」」
モブ「ギターボーカルの景山汐音かっこよすぎ…!」
モブ「同じ学校になれたのまじで神!!」
ライブはもう始まっていて、汐音はギターを弾きながら優しい声で歌っている
みんな「きゃーーーーー♡」
その姿は楽しそうで、キラキラしている
聞いているみんなも汗だくで輝いている
苑(歌がこんなにキラキラしてるなんて…
知らなかった)
苑の方を見て歌っている汐音
苑(今、こっち見っ…)
モブ(きゃーーーー!今こっち見たーーー!)
モブ(え、絶対こっち見てた!)
苑(なんだ…私じゃない…ですよね…)
○体育館を出た外
歩いて教室へ帰る苑
苑(汐音くんの歌、キラキラしてたな…
よし、私もがんばります!!
この学校で、めざせ友だち100人!)
モブ「いまのボーカルめっちゃかっこよくなかった!?」
モブ「シオンくんでしょ!」
モブ「この辺にいるんじゃない?」
モブ「探せ〜!」
モブ「シオンくん、どこ〜!!!!」
苑(汐音くん、早速人気ですね……)
苑「うわっ」
陰から何者かの手が現れて苑を抱き寄せる
苑「うわっ!」
汐音「静かにして…」
苑「この声は…汐音くん…?」
後ろから抱きしめられているので、顔は見えないが声で汐音だとわかる。
汐音は苑の首の匂いを嗅ぐ
汐音「はあ…
疲れた……
田舎のにおい嗅がせて…」
苑「なっ…!」
逃げようとする汐音
汐音はさらに力を入れるので逃げられない
苑「こんなこと…できる女の子いっぱいいるんじゃないですか…」
汐音「だーめ。このにおいがいいの、俺。
都会のうるせえのを忘れられるにおい。
それに…
今日はお前のために歌ったから。」
苑「…っ///」
苑(汐音くんの息がかかってくすぐったい…)
苑「私のために歌った…?」
汐音「そう。お前…今なんか悩んでるだろ…?」
苑「友だちほしいです…けど東京の子と何話せばいいかわからず、話しかける勇気もなくて。
私って生まれた時からみんな一緒だったから、友達の作り方知らなかったんです。」
汐音「……逆にお前と話したいって思ってるやつ、いるんじゃねぇの?」
苑「いやあ、こんな田舎者に話しかけてくれる子なんて…」
汐音「ほら。」
汐音が苑をポイっと外へ投げると
クラスメイトの美桜が少し遠くに立っている
苑のことを探しているのか、美桜はキョロキョロしている
苑の存在に気づき駆け寄ってくる美桜
美桜「あ!いた!苑ちゃん…」
走って近づいて来る。
美桜「あのさ…これ!」
少し息を切らせたまま、スマホを差し出す澪
美桜「これさ、昔私が使ってたスマホなんだけど、多分家で電波あるところなら使えるから、これで連絡取らない?」
…正直、うちらスマホばっかりで
学校で会ってもSNSとかアイドルの話しかしなくてつまらなかったと思うんだよね…」
苑(美桜ちゃん…)
美桜「これからは、ウチらも気をつけるから!
…明日から、一緒にお昼ごはん…食べない?」
苑「……!!」
苑「ぜ、ぜひっ…!
私でよかったら…!」
腕を差し出して、腰を90度に曲げる苑
苑の手を取り喜ぶ美桜
美桜「ほんと!?
…実は一昨日からこのスマホ持ってきてたんだよね。
キモいかなあと思って渡せなくて…
でも今日の汐音くんたちの歌聞いてたら、勇気出して話しかけてみようと思えてきたの」
苑(汐音くんの歌のパワー…すごい…)
苑「ふ、ふつつか者ですが…よろしくお願いします!」
美桜「アハハ!!やっぱり、"苑"面白いね。」
苑「その…!」パァァと顔が明るくなる苑
美桜「苑も、ミオって呼んで?」
苑「ミミミミミオ!」
澪「アハハハハ(涙)」
苑(汐音くんは、すごいです…
汐音くんの歌で前向きになった人が何人いるんだろう…)
そんな2人の様子を見ている汐音
フッと微笑む
《回想(汐音side)》
○教室で
スマホを2台持って、苑のことを見つめ何か悩んでいる様子の美桜
汐音「あいつ、喜ぶと思うよ?」
美桜「え…?」
スマホと汐音の顔を交互に見て、驚いた表情の澪
美桜「どうだろ…いきなりスマホ渡すなんてキモいかなって怖くて。ほらスマホ使うの強制してるみたいだし…。」
汐音「行動するの怖くて悩んでるんだったら、明日の昼バンド聴きにきて」
美桜「え?あ、う、うん…」
《回想終わり》
美桜と別れ、汐音のもとへ走って戻る苑
苑「汐音くん…ありがとうございます!」
汐音「俺は歌いたい曲、歌っただけだけどな」
苑(東京にきてから、私
汐音くんに助けてもらってばっかり…)
苑「何か私にできることはありますか!私にできることならなんでもします!」
汐音「ん〜じゃあ…」
苑を抱きしめる汐音
汐音が耳元で囁く
汐音「俺が疲れたら、苑の匂いかがせて?」
苑「……っ!!あれですか……!」
何回か匂いを嗅がれたときの近さを思い出して
みるみるうちに顔が赤くなる苑
汐音「じゃ、俺よく疲れるから…田舎のばあちゃんの匂い頼むな」
汐音が口角を上げて少し笑顔を浮かべる
苑(汐音くんが笑った………)
どこかへ行ってしまう汐音
苑は一息ついて下を向く
その顔はさらに赤く染まっている
苑(汐音くんといると心臓が持ちません…)