偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜

3・家族団欒  sideリア

 義兄(あに)に非道な告白をされてから、数日が過ぎた。

 今日は、義弟(おとうと)が下宿先から帰ってくる。
 家族3人で食事なんて、久しぶりだ。
 私は、朝からご機嫌に鼻歌なんて歌いながら、義弟を迎える準備をしていた。

 義弟の名前はテオドール。私たちは、親しみを込めて『テオ』と呼んでいる。
 テオは義兄と似てはいるが、どちらかというと養母(はは)似で、ブロンドの髪色だ。
 私より二つ下の18歳で、去年の9月に、私とは違う大学に入学した。
 ここから少々遠いため、普段は滅多に帰って来ない。
 テオが帰ってくるのは、養父(ちち)の葬儀以来だった。

「テオが帰ってくるのが、そんなに嬉しいか?」

 義兄のアルフレッドは、いつも以上に神妙な顔をしていた。
 
「嬉しいですよ。帰ってくるのもそうだけど、3人揃うのは久しぶりですもの──」

 義兄は、あれ以来何も変わっていない。
 私を憎んでいる……と言ったはものの、言動はまったく変わっていないのだ。
 普段は優しい義兄。私を求めてくる時だけ、ちょっと険しい顔をする。

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