偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
 カルステンが婦人から解放されたのは、午前二時ごろだった。
 婦人との過ちがなかったのは良かったが、別の意味で過ちを犯してしまったような気分である。
 
 誰もいないリビングは、電気がつけっぱなしだった。
 物音ひとつしない。二人はどうなったのかと気になるところだったが、余計な詮索はやめようと頭を振る。
 そのままソファに横になったが、どうにも電気を消すのをためらわれた。
 暗いリビングに一人でいると、どうしてもあの時のことを思い出してしまう。
 忘れるためにもう一度酒を一杯だけ飲み、浅い眠りについた。

 六時ごろになってポポロムが起きてきた。
 そういえば、昨夜の事があったと、カルステンは起き上がる。

「ポポロム、おまえなぁ……」
「叔父さん、おはようございます。……バレちゃいました?」

 そうじゃないことを願いつつカマをかけたつもりだったが、ポポロムの方からバラしてきた。
 完全に確信犯であることに、カルステンは頭を悩ませる。

「あーもう、旧友の大事な娘さんに手を出しやがって……」
「大事な……?」

 言われてポポロムは、急にスッと冷めた表情になった。
 ポポロムは、今までのリアの不遇な環境に、恨みとも言える感情を持っていた。
 
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