偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
第三章 束の間の幸せ

17・水着を買いに行こう! sideリア

「リアさん。今度の休み、天気が良かったら日光浴に行きませんか?」

 朝食後、リビングでお茶を飲みながらくつろいでいると、唐突にポポロム先生が切り出してきた。

「えっ、日光浴……ですか?」
「はい! 日光浴に適した、人気の公園があるんです!」

 この地域は日照時間も短く、気温が高い時期があまりない。そのため、外気温が18度であっても天気が良ければ、海水浴や日光浴に出かける人が多い。街の公園へ行けば、いざ陽に当たらんとする人達が、人目もはばからず水着姿で日光浴を楽しんでいる。

「そ、そうですね……」
「あまり、好きじゃないですか?」
「いえ、そうじゃなくて。私、水着を持っていないんです。子供の頃に行ったきりで……」

 水着を持っていないのは本当だけれど、ポポロム先生の前で水着姿になるのが恥ずかしいというのもあった。それに、子供の頃はまだゴンドル族の特徴である耳も目立っていなかった。今は他人に見られてしまうのではないかと、ためらってしまう。

「そうでしたか。では、買いに行きましょう!」
「え、ええっ?」
「善は急げです」

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