偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
「あなたの事が好きです。ずっとずっと、昔から……。素敵な女性になって、僕の前に現れた時は驚きました」

 ずっと……昔から?
 私、ポポロム先生に会ったことがある……?
 もしかしたら覚えていないだけで、幼い頃に会ったことがあるのかもしれない。

「先生……。とても、嬉しいです。でも……私でいいんですか……?」
「どうしてそう思うのですか?」
「だって、私は……」

 義兄と、身体の関係を持ってしまっている……。
 しかも意にそぐわない関係だ。私の口からは絶対に言えなかった。

 そんな女で、本当にいいんですか……?
 訴えるような目で、先生を見てしまった。

「かまいませんよ」

 先生は、私の心を読んだかのように答えた。

「全部まるごと、あなたを愛します」

「ううっ……」

 先生の温かさに、涙が溢れた。
 きっと先生はすべて知っているんだ。知った上で私を受け入れてくれた。
 こんな人はもう二度と現れないだろう。

「泣かないで、リアさん」
「ありがとう……ございます……。そんな風に言ってもらえたのは、初めてです……。よろしく、お願いします……」

 私は、しゃくりあげながら答えた。
 ──あなたを愛します。
 何度も何度も、心の中で反芻した。
 その言葉を聞いたのは、昔、養父母に言われて以来だった。

 家族愛じゃない。
 私を一人の女性として見てくれている。
 それがとても嬉しかった。

 少し恥ずかしかったけれど、先生は私を優しく包み込むように抱きしめてくれた。


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