偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
 リアさんは申し訳なさそうな、照れた風な顔をして言った。
 きっととても勇気を出して言ってくれたのだろう。
 僕はその勇気を無下にしないために、日焼け止めを受け取った。
 
「そ、それじゃあ、失礼して……」
「はい、思いっきりやっちゃってください!」
「そんな、力まなくても……」

 リアさんは綺麗に背筋を伸ばし、背中を向けて座った。
 本当は身体に塗る時は直接クリームを出した方がいいのだが、これ以上リアさんを混乱させるのもどうかと思い、一旦手に出すことにした。
 チューブを押して右手にクリームを適量出す。
 背中の中心に手を当てると……

 ぴと。

「ひゃあぅ!?」
「えっ、す、すみません……!?」

 いつもよりオクターブ高い声を聞いて、驚いて手を離す。

「い、いえ、すみません……。思ってた以上に冷たくて」

 ああ、そうか。いくら天気がいいと言っても、外気温は18度くらいだ。
 そのままクリームをつけたら冷たいに決まってますよね。
 リアさんのかわいい声を聞きたくて、もう一度やりたい衝動を抑えながら、手のひらで丁寧にクリームを伸ばしていく。

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