偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
 あの痛ましい事件の時のアザは、もう残っていない。
 とてもキレイな肌だ。
 
 良かった……。

 このまま……。
 このまま、テオさんの事は忘れたままで……いてくれたらいいのに……。

 日焼け止めを塗り終えてしまった。
 もっと触れていたい。
 あのお酒の時のような理性が効かない状態ではなく、ちゃんとリアさんを感じたい。

 愛おしさが溢れ、リアさんを後ろから抱きしめてしまった。

「せ、先生……?」
「終わりました」
「いえ、あの……恥ずかしいです……。人目が……」
「周りはカップルばかりですよ。こちらの事なんて気にしていません」

 耳元で囁く形になってしまい、リアさんはぴくりと緊張で肩を震わせた。

「リアさん。僕は、もう我慢できません」

 僕は、リアさんの肩を掴んでこちらを向くようにした。
 これだけは、目を見て真っ直ぐに言いたいと思った。

「あなたの事が好きです。ずっとずっと、昔から……。素敵な女性になって、僕の前に現れた時は驚きました」

 それを聞いたリアさんは、真っ赤になって俯いてしまった。

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