偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
「大学生活はどうなの? 楽しんでる?」

 リビングでお茶を淹れながら、談笑する。

「楽しんでるよ。下宿先の人たちとも仲良くなったし……」

 テオは、とても明るくて社交的だ。
 家にいると、花が咲いたように周りが明るくなる。
 義兄は、少し離れた場所で私たちを見ていた。
 せっかくテオと楽しく会話しているのに、まるで見張られているようだ。

「兄さんも何か話してよ。仕事の事とか、恋愛の事とか!」

『恋愛の事』と言われ、私は内心、どきりとした。
 まさか、私との事は恋愛ではないし、わざわざテオに言うはずないわよね……?

「いや……俺は、いい。少し仕事が残ってるから、2人で話していなさい。夕飯は一緒に食べる」

 そう言って、自室に籠ってしまった。
 義兄がいなくなって、私は少し安心した。

「ちぇー。つまんないなぁ」
 と、テオは可愛く口を尖らせた。

「お兄様は、忙しい人だから……」

 忙しいのは本当の事だし、一応フォローしておいた。

「ところでさぁ……姉さん」

 テオが、笑顔でにじり寄ってきて……

< 12 / 252 >

この作品をシェア

pagetop