偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
 実際、そういう人は多い。
 それに加え、テオさんは罪を犯している。社会に出ること自体がまず無理だろう。

「そっか。俺に、できるかな……?」
「焦らなくて大丈夫です。一緒に、頑張っていきましょう」
「ポポロム先生って優しいんですね。俺、好きになっちゃいそう〜」

 僕が笑顔を作ると、テオさんも笑顔になった。

「そうですか。依存先が増えるのはいいことですね」

 これは嘘ではない。
 本気で好きになられるのは僕にとっては困るが、テオさんにとってはいいことだ。
 依存先が複数あれば、心の平穏が保たれやすい。

「先生って、彼女とかいるんですか?」
「いません。いても教えませんよ」

 笑顔で答えた。
 本当は、つい先日君のお義姉さんとお付き合いを始めたんですけどね。
 なんて言えるわけがないでしょう。
 テオさんは「好きな人の大切なものを壊してしまう」傾向がある。
 本当に僕に好意を持ち始めているなら、リアさんの身が再び危険に晒されることになってしまうのだ。

「先生ってゴンドル族なんでしょ? うちの姉さんとか、どうですか?」

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