偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
 照れながら先生の腕の中へ入っていくと、ぎゅっと抱きしめてくれた。
 暖かくて優しい。久しく味わっていない感覚だった。
 静電気のように、チリチリと産毛が逆立った。
 これは、ゴンドル族同士が近づくと起こる現象らしい。

 先生は背が高いので、私の顔はちょうど先生の胸の辺りにくる。
 鼓動を感じながら安心していると、スッと私の顔を持ち上げるように頬の下の方に触れてきた。

「ロマンは足りないかもしれませんが、僕は、知識だけはあるので……。たとえば……ここ」

 言いながら、私の耳の後ろあたりをなぞるように指を滑らせてくると──

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