偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
第四章 選択
22・壁越しの面会 sideリア
夢を見た。
とても懐かしい、昔の夢だった。
「お父様、お母様ー!」
「ははは、あんまりはしゃぐと転ぶぞー!」
「気をつけてねー」
「はーい!」
養母が生きていた頃、家族でピクニックに出かけたことがあった。
綺麗な湖のほとりで、自然を感じながら走り回っていた。
お兄様が、そこに咲いていた花を摘んで、私にくれた。
「リアにあげるよ」
「お兄様、ありがとう」
お兄様がくれたということが嬉しかった。
私はまだ本当の恋というものを知らない年齢だったけれど、それでもお兄様のことが大好きだった。
そして、テオのことも。
自分がゴンドル族であることを理解し始めた頃、私は少し引け目を感じるようになってしまっていた。そんな私を曇りのない笑顔で懐いてくれる、私の大切な義弟。