偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
 ビリリ
 1ページ、また1ページと笑顔で本を破っていく。
 その光景が、とても異様に見えた。
 
 ──胸が締め付けられる。
 あの時の事件と、どうしても重なってしまうのだ。

『テオドールさん、本は破らずに、大切に扱ってください』

 天井にあるスピーカーから、職員らしき人の声が聞こえた。

「あはは、バレた」

 テオは素直に手を止めた。
 そしてすぐに、つまらなそうな顔になった。


< 149 / 252 >

この作品をシェア

pagetop