偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
23・ほんとうの気持ち sideリア
「ポポロム先生……」
「なんでしょう?」
その日の夜、私は先生の前に立ち、深く頭を下げた。
「申し訳ありません……。私たちの関係を、終わりにしていただけませんか?」
本当に、身勝手な事だと思う。先生の優しさは計り知れない。
私はそれに何度救われたことか。裏切るようで心苦しかった。
返事があるまで、少し時間があった。
おそらく数秒の事だっただろう。けれども先生が声を発するまで、ずっと頭を下げていた。
「なぜ……ですか?」
先生の声を聞いて、私はゆっくりと顔を上げる。
「先日、テオを見て思いました。やっぱり私は、あの家に戻りたいと」
記憶が戻ったからだけではない。
私は、今のお兄様と、テオと、きちんと向き合いたいと思ったからだ。
「あなたが、家に戻る事に反対はしません。ですが、僕との関係を切る必要はないでしょう?」
先生は怒る事もなく、穏やかな表情だった。
しかし、だんだんと不安そうな表情になっていった。