偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
「僕との時間は、幸せではなかったですか?」

「……っ、幸せでした」

 お父様が亡くなってからの生活。
 それを思えば、今は──。

「幸せすぎて、怖いくらいでした。でも、私は気づいてしまったんです」
「アルフさん……ですか?」

 言い当てられて、どきりとした。
 でも、それだけではなかった。
 私は記憶のすべてを思い出した。
 その中に、先生、あなたの記憶はないんです……。
 私が思い出せないだけという可能性も考えた。
 けれども、どうやっても思い出せない。

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