偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
 先生。
 私とあなたは、いつ出会ったんですか……!?
 訊くのが怖かった。
 しばらく沈黙した後、先生が感情を押し殺したような声で言った。

「……なぜ? なぜ、僕を選ばない!?」
「申し訳……ありません……」

 謝るしかできなかった。
 何故私は、私を大切にしてくれる人を選べないのだろう……?
 ──『私』を?
 違う。だって、先生は──。

「人間と結ばれたって、幸せになれない! 僕は! 僕なら、リアさんを幸せにできる!」

 ──ああ、やはり先生は……。
 『私』を見てくれてはいない──。

 肩を掴まれた。一瞬怯んだけど、ここで負けてはダメだと睨み返した。
 
「何が幸せかは、自分で決めます……!」
「僕たちは、一緒にいなきゃダメなんだ……!!」
「きゃあっ!」

 強い力で押し倒された。
 お兄様も、テオも、先生も、結局は力ずくなのかと落胆した。

「僕が……だって……昔から……!」

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