偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
先生は青ざめて「……すみません」とだけ言ってリビングから出て行ってしまった。
先生が愛していたのは、ゴンドル族の私。
そんな種族の問題を超えて、私を見てほしかった。
だけど、私も先生も自分に嘘はつけなかった。
これで良かった、良かったんだ……。
「叔父様、ありがとう……」
「いや……。俺は、リアちゃんを守ってやる責任があるからね」
叔父様が手を貸してくれて、ゆっくりと立ち上がった。
お父様の代わりにずっと見守ってくれている叔父様には、本当に感謝しかない。
「しかし、許してやってくれとは言わないが、ポポロムの気持ちもわかってやってほしい。俺があいつを引き取ったのは、あいつが8歳の時だ……」
叔父様は、二十年前の戦争時の事を話してくれた。
ポポロム先生は戦中に人間の兵士に追われていて、必死に逃げ隠れた場所が軍医である叔父様が待機していたテントの中だった。
まだ子供であったから親の元へ返そうとしたら、両親は人間の兵士に殺されて帰る場所を失ってしまっていた。
本来なら、政府に引き渡さなければならなかったのだが、叔父様はなんとなく情が湧いて先生を匿う事にしたらしい。それでも先生は人間を憎んでいて、手懐けるのに時間がかかったそうだ。
先生が愛していたのは、ゴンドル族の私。
そんな種族の問題を超えて、私を見てほしかった。
だけど、私も先生も自分に嘘はつけなかった。
これで良かった、良かったんだ……。
「叔父様、ありがとう……」
「いや……。俺は、リアちゃんを守ってやる責任があるからね」
叔父様が手を貸してくれて、ゆっくりと立ち上がった。
お父様の代わりにずっと見守ってくれている叔父様には、本当に感謝しかない。
「しかし、許してやってくれとは言わないが、ポポロムの気持ちもわかってやってほしい。俺があいつを引き取ったのは、あいつが8歳の時だ……」
叔父様は、二十年前の戦争時の事を話してくれた。
ポポロム先生は戦中に人間の兵士に追われていて、必死に逃げ隠れた場所が軍医である叔父様が待機していたテントの中だった。
まだ子供であったから親の元へ返そうとしたら、両親は人間の兵士に殺されて帰る場所を失ってしまっていた。
本来なら、政府に引き渡さなければならなかったのだが、叔父様はなんとなく情が湧いて先生を匿う事にしたらしい。それでも先生は人間を憎んでいて、手懐けるのに時間がかかったそうだ。