偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
「じゃあね、姉さん。また来るよ」

 夜も更けて、テオは帰ることになった。

「もう、帰っちゃうの? 泊まって行けばいいのに」

 テオがいなくなると寂しいのは本当だし、テオがいれば、義兄も私に構わないはず。

「そんな、寂しがらないでよ〜。 また来るからさ。あ、そうだ」

 テオは、何かを思い出して、人差し指を自分の頬に当てた。

「昔みたいに、行ってきますのキス、 してほしいな♪」

「ええっ!?」
「家にいた頃は、してくれたじゃん♪」
「そ、そうだけど……!」

 テオには、ずっとしてなかったから、 ちょっと恥ずかしいな……
 で、でもかわいい義弟(おとうと)のため……!

「じゃあ……ちょっと屈んで?」
「ん……」

 テオは、目を瞑って屈んでくれた。
 義弟とはいえ、少し、ドキドキする。

 行ってきますのキスを──テオの唇に、してしまった。

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