偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜

24・向かい合う覚悟 sideリア

「アルフ君のところに?」
「はい」
「じゃあ……これも言っておかなければならないな」

 叔父様は優しく笑って、私の頭をぽんぽんと叩いた。
 お父様の代わりにずっと見守ってくれていた、カルステン叔父様。
 そういえば、私の記憶が戻ってからこうして二人で真っ直ぐに向き合うのは初めてではないだろうか。

「リアちゃん。アルフ君は、ちゃんと君を愛していたよ」
「えっ?」
「アルフ君はね、一種の脅迫概念に囚われていたんだ。彼がテオ君によく物を壊されていたのは知っているだろう?」
「はい。テオはよく義兄(あに)の物を欲しがり……壊していました」
「彼が君を憎んでいたのは、自己防衛のようなものだよ。わかるかい? 大切なものはすべてテオ君に奪われていたのなら……それはパートナーだって例外じゃない」
「でも、義兄は……私を無理矢理……」
 
「うん……。おそらく、ダニエル──君たちの父親が亡くなって、アルフ君も気持ちが不安定になったんだろうね。こっちも許されることではないけど、愛したい気持ち、奪われるかもしれない恐怖、父親が亡くなった苛立ち……すべてがごちゃ混ぜになってリアちゃんに向いてしまった」

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