偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
 *

 
 数ヶ月ぶりに、家に帰ってきた。
 我が家の匂いを確かめるように深呼吸する。
 お兄様はまだ帰ってきていない。
 忙しくて、もっと生活が荒れているかと思ったけれど、意外にもリビングやキッチンは綺麗だった。冷蔵庫を覗くと、飲み物以外何もなかった。もしかしたら、外食ばかりしているのかもしれない。

 簡単なものを用意しておこうかと思ったけれど、この時間だともうお店は開いていない。
 リビングで、お兄様が帰ってくるのを待った。
 必ず笑顔で迎えよう。私は覚悟を決めて戻ってきた。
 何があっても、お兄様と向かい合う覚悟を──。
 
 しばらくして、玄関の扉の開く音がした。
 私は、ソファからスッと立ち上がった。
 リビングの扉が開く。予想通り、お兄様は驚いていた。

「……リア!?」

「おかえりなさい、お兄様」

「一体、どうした?」

 お兄様の顔を見て、少し考えてしまった。
 正直に言おう。怯まずに、堂々と。

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