偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
 私が歩み寄らなければ、私たち家族は壊れたままになってしまうだろう。
 暗闇の中を手探りで彷徨うような、そんな時間を私たちはずっと漂ってきた。
 やっと見つけた光への道は、綱渡りのようにとても不安定だ。
 それでも私は、お兄様の心の奥に触れたい。

「それに、叔父様が言っていました。お兄様の症状の事……。お兄様は本当は、私を愛してくれていたんだと──」

「違う」

 一言で否定された。
 それは、拒絶にも近い一言だった。

「それに、おまえは言っていたじゃないか。兄弟で愛し合うのは間違っていると──」

「お兄様、覚えていないのですか? そもそも、兄弟で結婚できないと言ったのはお兄様ですよ」

「……え?」

 そう、あの時から。
 私はお兄様への気持ちを閉じ込めていたのだった。
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