偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
「おまえがやるべき事はなんだ? リアちゃんの望みを、叶えてやることじゃないか?」
「それは……」

 リアさんはまた家族──兄弟で暮らしたいと思っている。
 それには、テオさんが出来る限り日常生活を送れるように手助けしないといけない。
 残念ながら、僕は医者であってもテオさんに対してできることは、たかが知れている。僕が「治す」なんて事は、とてもおこがましく傲慢な事なのだ。

「おまえなら、できると俺は信じてる」
「叔父さんは、僕を買い被りすぎですよ」
「そんな事はない。おまえは俺の、自慢の『息子』だからな───」

 叔父さんは、僕の頭をポンポンと叩いた。
 まるで子供扱いしている。
 だけど、『息子』と言われた事がほんの少しだけ、嬉しかった。
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