偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
25・幼い日の夢 sideリア*
「わぁ……素敵」
12年前、当時8歳だった私は、教会の前で足を止めた。
ちょうど結婚式が執り行われており、新郎新婦が来賓のフラワーシャワーを浴びて教会から出て来ていたのだ。
真っ白なタキシードに真っ白なウエディングドレス。
それは、幼い日の私の目に、とても鮮明に焼き付けられた。
結婚なんてまだまだ先のことだったけれど、将来の夢は花嫁さん、なんて憧れていた時期もあった。
「どうした、リア?」
少し前を歩いていたお兄様が、歩みを止めた私に気づいて戻ってきた。
「ああ、結婚式か……」
「花嫁さん、素敵ですね」
「そうだな」
「私も、いつか素敵な花嫁さんになれるかな……?」
憧れと諦めの混じった複雑な気持ちで、お兄様に言ってみた。
お兄様は少し考えて、
「リアなら、素敵な花嫁さんになれるよ」
と、優しく言ってくれた。
「でも私はゴンドル族だから、きっと結婚できません」
自分がゴンドル族であることと差別があること、生活や結婚の制限があることは両親から聞いていた。だから、その夢は叶わないのだろうと半ば諦めていた。
「そ、そんな事はないよ」
12年前、当時8歳だった私は、教会の前で足を止めた。
ちょうど結婚式が執り行われており、新郎新婦が来賓のフラワーシャワーを浴びて教会から出て来ていたのだ。
真っ白なタキシードに真っ白なウエディングドレス。
それは、幼い日の私の目に、とても鮮明に焼き付けられた。
結婚なんてまだまだ先のことだったけれど、将来の夢は花嫁さん、なんて憧れていた時期もあった。
「どうした、リア?」
少し前を歩いていたお兄様が、歩みを止めた私に気づいて戻ってきた。
「ああ、結婚式か……」
「花嫁さん、素敵ですね」
「そうだな」
「私も、いつか素敵な花嫁さんになれるかな……?」
憧れと諦めの混じった複雑な気持ちで、お兄様に言ってみた。
お兄様は少し考えて、
「リアなら、素敵な花嫁さんになれるよ」
と、優しく言ってくれた。
「でも私はゴンドル族だから、きっと結婚できません」
自分がゴンドル族であることと差別があること、生活や結婚の制限があることは両親から聞いていた。だから、その夢は叶わないのだろうと半ば諦めていた。
「そ、そんな事はないよ」