偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
「リア……やけに積極的だな?」
「だって、お兄様が私に触れられないなら、私が触れるしかないでしょう……?」
「それは、そうだが……」

 私は、今まで散々お兄様にやられてきたのだ。
 こちらから少し強引に行っても、バチは当たらないはず。
 
「お兄様に拒否権はありません」

 お兄様の上になり、今度は私が見下ろす番。
 愛おしいとほんの少しの恨めしい気持ちが入り混じる。

「形勢逆転、です。覚悟してくださいね♪」

 かつてのお兄様もこんな気持ちだったのだろうかと、笑みが溢れる。

「まいったな……」

 そう言いながらもお兄様は頬を染めて、観念したように身を委ねてきた。

「大人しく、やられるとしよう」
 
 許可をいただいたので、手加減致しません。
 意地悪く、お兄様の身体のラインをなぞるように愛撫する。
 私がお兄様にされてきた事、全てお返し致します。
 愛憎という、不可解な感情の全てを──。


< 178 / 252 >

この作品をシェア

pagetop