偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜

25.5・天罰 sideアルフレッド*


 12年前、家族で出掛けていた帰り道。
 少し後ろを歩いていたリアの姿がない事に気が付ついて振り返る。
 リアは、教会の前で歩みを止めていた。
 ちょうど結婚式が執り行われており、新郎新婦が来賓のフラワーシャワーを浴びて教会から出て来ていた。
 リアはそれに見惚れいていたのだ。

「どうした、リア? ああ、結婚式か……」
「花嫁さん、素敵ですね」
「そうだな」
「私も、いつか素敵な花嫁さんになれるかな……?」

 リアは、少し寂しそうな表情をした。
 俺もゴンドル族の事情は父さんから聞いていたから、リアの気持ちはわかっているつもりでいた。

「リアなら、素敵な花嫁さんになれるよ」

『無理だよ』なんて、絶対に言えなかった。
 だって父さんは、そのために今頑張っているから。

「でも私はゴンドル族だから、きっと結婚できません」
「そ、そんな事はないよ」

 気休めかもしれない。
 でも俺は、リアの花嫁姿を見てみたかった。

「もし……もし、誰もお嫁にもらってくれなかったら……お兄様が、もらってくれますか?」
「えっ……!?」

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