偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
 頬を赤く染めて、俺の顔を覗き込むようにして言われた。
 リアはとりわけ美人というほどでもなかったが、素直で愛嬌があった。
 優しく気立てのいいリアは、規制がなければ本当にいい花嫁になっただろう。
 血の繋がりはないのだから、結婚しても問題はない。
 リアが大人になり、純白のウェディングドレスを身に纏う。その隣に、俺がいたら……。
 柄にもなく、ドキドキしてしまった。

 しかし、その時俺は気づいてしまったのだ。
 少し離れた場所で、テオがこちらを窺うようにじっと見ていたのを。
 
「……ハッ、ダメだ!」
「え……?」
「リア、兄弟では結婚できないんだ」
「そうなんですか……」

 すかさず嘘をついた。
 テオに、俺の気持ちを悟られるわけにはいかない……。

 「なになに? なんの話ーー?」

 テオが無邪気な笑顔でやって来ると、リアが説明をする。
 背中に嫌な汗をかいた。

「僕も姉さんと結婚するーー」
「テオ、兄弟では結婚できないんだって……」
「そうなんだ……ざんねん」

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