偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
 リアが「しまった」という顔をしている。
 気づけば俺は、リアの肩を強く掴んでいた。
 リアが少し怯えていることも気に留めず、以前の調子で接してしまっていたのだ。 

「どこに触れられた!?」
「えええええええっ!? そ、そんな恥ずかしい事、言えません!!」
「恥ずかしくて言えないような所なのか!?」
「お兄様ー!?」

 まさか、すでにそんな関係になっていたとは。
 いや、密かにそれが狙いだったのではないのか、俺は。
 同族同士で結ばれれば世間に後ろ指さされる事もない。
 リアがそれで幸せになるのであれば、と思っていたのに……。

「わかった、言えないのなら全部愛してやる」
「えっ?」

 無意識にリアを抱き上げて寝室へ向かっていた。
 ベッドへ降ろし、以前のようにリアに跨るような形で見下ろす。
 なんてことだ。ここへ来て欲が出てしまうなんて。
 帰ってこなければ諦めもついた。
 俺の前に再び現れただけでも驚きだった。
 それどころか、覚悟を決めて来たなどと言われたら……。
 俺はもう、自分に嘘がつけなくなる。

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